「おー!いつも何書けばわかんないけど今なら書けそう」
夏川くんは私の稚拙な教え方でも分かってくれたみたい。
「めっちゃわかりやすいありがとう」
多分、私が教えるの上手いんじゃなくて夏川くんの理解力が高いだけなんだけど、そんな風に喜んでもらえるとつい笑みを浮かべてしまった。
「あーつまんな」
みんなだんだん勉強に集中し始めた頃、瀬名くんの集中力は切れた。
は、早い…!
さっきまでは数学のワークを頑張って解いていたのに急にだらっとなって
「何か頼もっかな」
とメニューを眺め始めた。
「瀬名くんがんばって」
こんなことをいっても響かなそうだけどとりあえず今食べ物を頼まれたら食欲で私までやられる。
「ねー莉紗先輩。俺がテストで全部平均点以上取ったらデート行ってくれる?」
うわ、今このタイミングで出るか、軽い発言。
「いいよ、でもその代わり全教科80点以上ね」
平均点以上だともしかしたら超えてくるかもしれない。
とりあえずデートに関しては点数を上げて諦めてもらおう。
と思ったんだけど…。

