この恋は妄想じゃありません

ファミレスに入ると、瀬名くんはバイト先の先輩なんかに絡まれていた。



4人がけのテーブル席に通されて、早速勉強を始める。




この間来た時と同じようにファミレスは人が少なくて静かだ。



「じゃ、始めよっか」



夏川くんが問題集を取り出して開くとみんなもそれぞれに勉強を始め出した。



…えーっと勉強を始める前に。



「瀬名くん、昨日わかんないって言ってた範囲。ポイントまとめといたから」



瀬名くんに1枚のルーズリーフを渡す。



昨日言われたところのポイントをまとめてみたものだ。



きっと口で教えるよりこっちで教えた方が早いと思って昨日の夜用意したものだ。



「え、いいの?」


「うん」


「莉紗先輩のそういうとこ好き」



またそういうことサラッと言うと呆れてしまう。



これで口で説明しなくて大丈夫だろうとほっとしていると、夏川くんから質問があった。



「俺記述が絶望的に出来なくてコツとかある?」



夏川くんとは勉強を教え合う約束だった。



「こういう主人公の気持ち系の記述はね…」



私は国語の中でも記述は特に得意だ。



普段、小説で文章を読んだり書いたりしているから気持ちとか読み取るの好きなんだよね。



「とりあえず場面と言動を文章から見つけて…」



夏川くんにうまく説明出来るかはわかんないけどとにかく記述のコツを説明してみる