この恋は妄想じゃありません

なんか乃愛ちゃんと仲良くなれた気がして嬉しいな。



「よかったら私のことも名前で呼んでね」



そういえばそれを言ってなかった。



私も下の名前で呼んでもらえたらうれしい。



「いいんですか!莉紗先輩って呼んでも」



下の名前で呼ぶ、それだけのことなのにそんなに喜んでもらえて幸せ。



「もちろんいいよ」


「俺がダメ」



その時、後ろから声がした。



「せ、瀬名くん?」


「おまたせ」



なんにもなかったかのように普通の顔して立っている。



「三琴くん俺がダメって何?」



「莉紗先輩って呼ぶのは俺だけがいい」



確かに私のことを莉紗先輩って呼ぶ人は瀬名くんしかいないけど。



「っていうか三琴くん森先生に怒られてなかった?」



乃愛ちゃんがそういった瞬間、廊下から小走りで



「瀬名!!課題出せ」



と声がする。



瀬名くんと乃愛ちゃんの担任の森先生だ。



体育教師かと間違われるほど熱血。



「うわ逃げろ」



やべっと小さな声で呟いてすごい速度で靴を履き替え走っていく。