この恋は妄想じゃありません

ここのファミレス、注文も最後のレジもデジタルだから店員さんとも話さなくて良くていいな。



ドリンクバーでウーロン茶を多めに取って私は席に着いた。



今書いている小説は、静かで地味な女の子と学園の王子様の恋。



王道っちゃ王道だけど、セリフや性格、口癖に自分の好みを存分に入れれば王道だけど読み応えのあるものができあがる。



この小説は、今やっている「ハイスペック男子との恋」コンテストに応募している。




この小説のヒーローは学園の王子様で、頭も良くて運動も出来る。



やっぱりコンテストのテーマ通りに書くことが受賞に繋がることは確かだ。




最後どんなセリフで告白させるか悩んでいると、ちょうど頼んだプリンが届いた。



「こちらプリンになります」



一瞬、店員さんの顔を見てありがとうございますと伝えようとした。




「…っ」



言葉が出なかった。