この恋は妄想じゃありません

「俺、莉紗先輩に絶対興味持たせるから見てて」



さっきとは違う真剣な表情だったから思わず見入ってしまった。



こんな真面目な表情もできるんだ。



「興味持つ気はないけど、見てるよ」



そもそも私のタイプは、誠実で真面目で頭がいい人だから瀬名くんとはだいぶ違うんですけどね。



「つまんねーの。じゃ俺今日バイトだから」



時計を確認したあと少し焦ったように小走りでいなくなる。



「ばいばーい」



無駄に楽しそうな声でこっちに手を振ってくるから仕方なく、



「ばいばい」


とだけ返してみた。



バイトなんかしてたんだ、ちょっと意外。



私も急がなくちゃ!



瀬名くんに続いて小走りとまではいかなくとも気持ち早歩きで私は家へと向かった。