この恋は妄想じゃありません

ほんと見た目だけでいえばヤンキーだ。


だけどちょっとは優しいとこもあんじゃんなんて思ってしまった。



「ありがとう」


「先輩、もう1回」


「え…?あ、ありがとう」


「もう1回」


「はぁ、もう言わない」


「えーケチ」


虫を捕まえてくれたことには感謝だけど何回もありがとうなんか言ったら調子に乗る。



なんか、子供みたい。



こんなしょうもないやり取りしたのいつぶりだろう。



「ほら、瀬名くんやるよ」


「はーい」



テキパキやれば窓の掃除は案外早く終わって、私たちはすぐ帰れることになった。



瀬名くんも私がちゃんとやり始めたらしっかり仕事してくれた。



「えー2人もう終わり?」


「うん!お先失礼しまーす」



夏川くんたちに挨拶して、生徒会室を出る。



「ねー莉紗先輩」


「ん?」


生徒会室から出てすぐの廊下で神妙な面持ちで瀬名くんが口を開いた。



「さっきさ、俺に興味ないって言ってたじゃん」


「え?」


「乃愛と話してた時」



きっと、生徒会室の外からたまたま聞こえちゃってたんだろう。