この恋は妄想じゃありません

「これ食べて元気になってください」



ニコッと笑うその顔が脳裏に焼き付く。



彼女だけでなく先生や他のごみ拾いをしていた生徒たちも俺のことを気遣ってくれた。



「何年生ですか?」



会話が途切れないように彼女のほうから話題を振ってくれる。



「三年です」



「じゃあこっから頑張り時だ」



大変だね、つらいよね、そんな言葉じゃなくてポジティブで優しい一言。



「俺まだ志望校決まってないんです」



気づけば俺は自然と自分の悩みを打ち明けてしまっていた。



この人なら、きっと今の俺を認めてくれる。



本能的にそう思ってしまった。



「大丈夫ですよ、どの学校行ってもなんだかんだ楽しいし」



彼女の言葉は楽観的で本当に心からそう思っていることが伝わってくる濁りのないまっすぐだ。




「私も色々悩んで今の高校に入ったんでけど今めっちゃ楽しいです」



まぁ楽しくなかったらこんな日にごみ拾いなんか絶対しないでしょ。