この恋は妄想じゃありません

周りのメンバーたちも鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてこっちを見つめている。



「だから、俺先輩のこと好きです」



もう一度そう言われてしまえばこれが現実ということを信じざるを得ない。



…なにこの少女漫画みたいな展開。



漫画を読んでいた時は、かっこいい、私もイケメンに告白とかされてみたいってキュンキュンしていたのに。




実際、言われてみるとなんで？という気持ちで心の中がいっぱいになる。




これ、ほんとに私に言ってる？



でもみんな私のこと見てるし…。



っていうか私がなんか言った方がいいやつかな。



軽いパニック状態に陥ってしまう。



そんな私のことを見つめて瀬名くんは少しだけ口角を上げてほほえんだ。



「また言います」



ニコッとそう言われればもう返事なんてできないどころか声なんてでない。



また言いますって…。



このどうしようもない空気を私はどうすればいいんだろう。



なんて思っていたらやっぱりこういう時気を利かしてくれるのは夏川くんだった。