この恋は妄想じゃありません

「よろしくね、瀬名くん」



気づけば私はそんなことを口にしてしまっていた。



瀬名くんは近くで見てみるとより一層顔が整っていることがわかる。



きれいなきりっとした目に、一直線に通った鼻筋。



モデルさんみたいに手足だって長い。



こんな男子高校生いるんだ…。



なんて見とれてる場合じゃないんだったよ…！



なんていうんだろう。



瀬名くんを近くで見たとき、なんともいえない感情に襲われた。



一目ぼれなんかじゃなくてきれいな景色とかを見たときにこみあげるあの感情。



結局、私は瀬名くんを見入ってしまった。



するとばちっと彼の切れ長な三白眼と目が合う。



何か言われるかも、そう身構えたら瀬名くんは私のことをじっと見て言った。



「好きです。付き合ってください」



…は？


時が止まったような感覚だった。



「え？」



聞こえなくて聞き返したわけじゃない。



意味が分からなくて聞き返したのだ。