この恋は妄想じゃありません

今だったら言えるって思って呟いた。



「…は」



瀬名くんは呆気にとられて顔を背けた。



「先輩、それは反則」



観覧車の中の温度はどんどん上がっていく。



「先輩。付き合ってください」



数秒した後、意を決した瀬名くんからそう言われた。



「…うん」



答えなんてもともと決まっていたけど、ちゃんと口に出すと恥ずかしくなる。



やっと、気持ちが通じ合えた嬉しさと愛しさでどうにかなりそうだ。



「好きだよ、瀬名くん」



もう一度自分の気持ちを呟けば、瀬名くんは



「俺も」



と普段の元気な様子からは想像もできないくらいに小さな声で言ってくれた。



「ねぇ先輩。ジンクス知ってる?」



観覧車がそろそろ頂上に着きそうという頃。



「ジンクス?」


「観覧車がてっぺんに来た時、キスしたカップルは永遠に結ばれるんだって」


「なにそれ、本当?」


「嘘、俺がつくった」



全く聞いて呆れる。