この恋は妄想じゃありません

｢仲良い友達とかつくってさ、あわよくば恋愛もなんて｣



目頭から熱いものが込み上げてきた。



中学の頃と同じようになってしまった事の悲しみが涙には詰まっていた。




｢でもこれじゃあ彼氏なんかできないや｣



今までの｢完璧｣な有村莉紗はもう終わった、崩れてしまった。




こんなんじゃきっと恋はできないし、彼氏も作れない。



そう嘆くと、瀬名くんは綺麗な唇をゆっくり開いた。



｢俺で我慢しなよ｣



間違いなく、彼の口からそう発せられた。



｢俺ならずっと莉紗先輩のこと好きでいられるよ｣



｢なんで…なんでそんなに優しいの？｣



涙声になりながら、1番聞きたかったことを尋ねると彼もまたゆっくり過去のことを話はじめた。



｢俺さ、グレてたの。中3の時かな。それでまともに食ってなくて熱中症で倒れちゃって｣



今の話の流れから何も関係なさそうなことを話されて困惑する。