この恋は妄想じゃありません

ここら辺の遊園地で1番大きい観覧車だ。



ほとんど待たずに観覧車に乗り込むことができた。



いつもは春休みとか混んでる時に来てたから並ばず乗れるのなんだか違和感。



「瀬名くん、今日ありがとう」



遊園地に来たら、嫌な気持ちも少し吹っ飛んで忘れさせてくれた。



「別に、俺が来たかっただけだし」



観覧車という密室で話すとお互いの声がよく響いて胸が高鳴る。



「小説書いてること、みんなに言ったんだけどやっぱり悪口言われちゃって」



こんないちいち説明しなくても、瀬名くんは知っているんだろうけど。




「私、中学の時いじめられてて」




本当はこんなこと瀬名くんに知られたくなかった。



でも、もうダメだ。



瀬名くんは私の秘密全部知ってるから今さら隠しても意味無い。



「だから高校では絶対に成功してやるって思ってたんだよね」



弱音を吐いてしまった。



吐いてもいいかなと思ってしまった。