この恋は妄想じゃありません

「よし、何から乗る?」



遊園地は、平日の夕方ということで比較的空いていてどの乗り物も待ち時間は10分ほどだった。



「そーいえば先輩、こないだお化け屋敷ごめんね」



遊園地内のお化け屋敷を通り過ぎた時、今さら瀬名くんに謝られる。



「ほんと許さない」



あれに関しては、未だに許せない。



「許してよ」



あははと笑いながら、瀬名くんは



「あれ乗りたい」



と言い出す。



それは前までの瀬名くんで、全く変わってなくて胸を撫で下ろす。



いくつかアトラクションに乗ると、あっという間に日は沈んでしまった。




太陽がいなくなったら今日が終わってしまいそうでなんだか悲しい気持ちになる。




「最後に観覧車乗らない?」



気がつけば私は自分から誘ってしまっていた。



「莉紗先輩が誘ってくれた!もちろんいーよ」



無邪気に笑って、観覧車の方に行く。



この観覧車に乗るのは、もう10年ぶりくらいで、だけどこんな夜に乗るのは初めて。