この恋は妄想じゃありません

そして、私が怖がっていたことは思っていたよりも早く起きてしまった。



「ちょっと引くよね」



トイレに入っていた時、聞こえた一言。



前の話の流れ的に私の事を言っているってことがすぐに分かった。



呼吸が出来なくなるくらい心拍数が上がっている。



結局トイレに5分もこもってしまって、悪口を言ってきた子たちがいなくなったか何度も確認した。




やっぱり陰口とか言う人もいるよな。



暗い気持ちでトイレを出る。



まだ全員から悪口をいわれていないのが救いだけど、中学校の思い出が頭をよぎった。



もうあんな思いは二度としたくない。



やっぱり秘密、言わなきゃ良かったかも。



そう思いながら、教室までの道のりを歩いていた。



「…瀬名くん」



なのに、今1番会いたくない人に会ってしまった。



たまたま教室移動で2年のフロアに来ていたみたい。



瀬名くんとは文化祭の日からずっと気まずいまま。



生徒会の仕事の時もあまり話さないように気をつけていたし、前みたいにあっちから軽々しく話しかけてくることもなかった。