この恋は妄想じゃありません

「ぴったりだ」



私が靴を履いたらぴったりというシーン、この後夏川くんが私に結婚を申し込んで劇は終わりだ。



「シンデレラ結婚してください」



夏川くんが膝をつき、私に手を差し伸べてくる。



「はい」




その手を取り、微笑みあって終わりなはずだった。



私が手を取った瞬間ぐっと引き寄せられた。



気づいた時には私は夏川くんに抱きしめられていた。



なんで…?



台本ではこんな動作なかったはずじゃ?



「ごめん止められなかった」



私にだけ聴こえる声で夏川くんに言われると顔が赤くなってしまう。




観客席の方からは



「きゃー!!」



「やっぱ生徒会長と副会長って付き合ってたの!?」



と歓声が聞こえてくる。



なんでこんなことにと思っているうちに幕が下がる。



これで…劇は終わりだ。




「めでたしめでたし」



というナレーションが入ると幕越しに大きな拍手が聞こえる。



よかった…大成功だ!