この恋は妄想じゃありません

やばい、転ぶと思った瞬間、私の体は夏川くんによって支えられた。



「有村さんっ!」



夏川くんのおかげで、床に倒れることはなかった。



だけど体が止まった時、私は夏川くんの腕の中にいた。



ぎゅっと抱きしめられていて、状況を読み取った途端恥ずかしくて顔が赤くなっていく。



「ごめん」



夏川くんも気づいたみたいでゆっくり腕を解いてくれた。



仕方ない、不可抗力だ。




「ありがとう」



っていうか私の事抱きとめてくれたんだから感謝しなきゃ。



「一旦カット!」



林田さんが大きな声でカットの指示を出し、こっちに寄ってきてくれる。



「とりあえず、有村さん怪我ない?」


「うん」



夏川くんのおかげで私は怪我も何も無い。



多分1人で倒れてたら軽く捻挫はしてたと思う。



「よかった…」



夏川くんがふぅと息を吐き、その場に座り込む。