この恋は妄想じゃありません

ハッキリ林田さんに言われて恥ずかしくなってくる。



「じゃあやります」



今日は、本番同様に体育館のステージを借りている。



いつもと違って舞台が大きいから緊張するなぁ。



「昔、あるところに1人の少女がいました。少女は母を亡くし…」



ナレーターの言葉で、リハーサルが始まった。



何度も練習したセリフ、動き。



練習の甲斐あって体に染み付いていて、忘れることなくできた。




そのまま順調に進んでいき、パーティのシーンになった時だった。




ドレスを着て、靴を履き替えて王子様と会うシーン。



台本通り、私は夏川くんが近づいてきたら歩き出せばいい。



王子様の衣装を着た夏川くんが現れて、近づいてくる。



よし、このタイミングだ。



夏川くんとの距離が約1mくらいになった時私は歩き出した。



「ガコッ」



だけど体は思わぬ方向に傾いた。



慣れないガラスの靴で歩いたせいで上手く歩けず、つまずいてしまったのだ。



体は制御が効かなくなりそのまま前に倒れていく。