この恋は妄想じゃありません

「でも夏川パイセンのことは好きじゃないんでしょ」


「うん」


「そっか、なら許す」



付き合っているわけでもないのに恋人みたいな温度感で話されるとわかんなくなってくる。



「息抜き、いつでも付き合うから」



私の演劇の練習が近づいてくると瀬名くんは言った。



「ありがとう、私もいつでも息抜き付き合うよ」



今日の借りを返すつもりで言っただけなのに、瀬名くんは



「ほんと?やった!」



と無邪気に喜んでいた。



「時間だ、私は学校戻るけど瀬名くんは?」


「俺も行こーかな」



思っていたよりも、今日は瀬名くんにドキドキすることなく普通に話せた。




多分、励ましてくれたからだと思う。



私たちはどうでもいい話をして学校に帰った。