この恋は妄想じゃありません

「ひまわりって太陽に向かって咲くっていうじゃん」


「うん」



昔、おばあちゃんに多くの光を浴びるためにひまわりは太陽を追うと聞いたことがある。



「俺と莉紗先輩みたい」



どういうことかすぐに分かった。



要は、私が太陽で瀬名くんがひまわりと。



「太陽はひまわりが自分のこと追ってるなんて思ってないのにね」



「どうしたの文学的だね」



瀬名くんは私を元気づけるためにわざわざここまで連れてきてくれたんだ。



「ありがとう元気出た」


「よかった」


「瀬名くん頭いいのに補習なの?」


「提出物出さなすぎて」



瀬名くんといるとなんだか瀬名くんのことしか考えられなくなってしまう。



きっと魔法だ。



「っていうか王子役誰なの?」



不意に瀬名くんの機嫌が悪くなりそうな質問を自分からしてきた。



「夏川くん」



答えなければよかったと思った。



「最悪」



目に見えて瀬名くんはむすっとした。