この恋は妄想じゃありません

夏休み初日だっていうのに、なんで学校に行かなきゃいけないんだ。



夏は嫌い。



髪の毛は乱れるし、汗はかくし。



学校への道のりがすごく長く感じるよ…。



今日は、夏休み初日なのに劇の練習がある。



シンデレラをやることになってしまった私は仕方なくとぼとぼと学校へ向かっていた。



あの時やりますと言った自分を呪ってやりたい。



「おはよう有村さん」



下駄箱に着くと、ちょうど夏川くんも来ていた。



「おはよう」



夏川くんにぐったりした顔は見せられない。



夏川くんがもし、「自分が誘ったせいで有村さんを困らせちゃった」なんて思ったら大変だ。



夏川くんが手にお弁当を持っていることに気づく。



あれ、今日の劇の練習って午前だけのはずじゃ?



「夏川くんお弁当?」


「うん、午後はサッカー部があるから」



夏川くんの焼けた肌を見たら、自分も何かしなきゃという気がしてくる。



夏川くんはこんなに頑張っているのに私は今日の練習でさえも憂鬱に感じてる。