この恋は妄想じゃありません

「いいじゃん、私は照明にしよっかな。楽そうだし」



心菜ちゃんは夏休みは彼氏と遊びまくりたいらしく、楽な仕事がいいと言っていた。



「そろそろいいですか?」



林田さんがそういうと、みんな自分の席に着いた。



「じゃあまずはキャストから」



林田さんは黒板に役の名前を書いていく。



「シンデレラ」、「王子様」、「いじわるな姉たち」に妖精…。



誰がやるんだろうな。



チア部とかの子かな?



「じゃあまずシンデレラから、やりたい人いますか?」



林田さんがそう呼びかけても、誰も手をあげる人はいない。



確かにシンデレラって1番主役だしハードル高いもんなぁ。



「じゃあ先に王子決めます」



なかなか立候補が現れないので、とりあえず先に進もうということになった。



「王子やりたい人ー」



だけど、ここでも誰も手をあげる人がいない。



林田さんがうーんと悩む表情を見せた。



「推薦でもいいですか?」



思い切って林田さんがそういうと、みんなすぐに夏川くんのことを推し始めた。