12月24日、クリスマスイブがやって来た。
ショーの開始時間まで、めぐと弦は残業しながら待つ。
定時を30分過ぎたところで環奈が立ち上がった。

「それでは、お先に失礼します」
「あれ?環奈ちゃん、ナイトショー観ていかないの?」
「行きますよー。実は待ち合わせしてるんです。ふふっ」

ふふっ?とめぐは首を傾げる。

「もしかして!環奈ちゃん、彼氏出来たの?」
「よくぞ聞いてくれましたー!そうなんです。この間の合コンで」
「そうなのね、おめでとう!じゃあこれで晴れてジングルベルだね。素敵なクリスマスイブを」
「ありがとうございます!」

ウキウキと事務所を出て行く環奈を、良かったなーとめぐは見送る。
すると隣のデスクで弦も「幸せそうだな、環奈」と呟いた。

「うん、本当に。環奈ちゃんは可愛くて明るくて優しい、いい子だもん。絶対にいつか素敵な彼氏が現れるって思ってた。どんな人なんだろうなー、お相手は。あ!ねえ、ショーを観に行くって言ってたよね?バッタリお会いしちゃうかも?」
「おいおい、邪魔するなよ?」
「もちろんしないよー。物陰からこっそり覗くだけよ」
「それも怖いわ」

やれやれと腕を組み、弦は時計を確認する。

「少し早めに行こうか。ホテルのチェックインもしなきゃいけないから」
「そうだね。あ!私ね、グッズ販売のワゴン見たいんだ」
「そっか。なら、そろそろ出よう」
「うん」

帰り支度をすると、二人でパークに向かった。