ロビーに着くと、大階段の下には綺麗なリボンと生花で飾られた椅子が並び、長谷部がにこやかにゲストを案内していた。
めぐの姿を見るなり、笑顔で近づいて来る。
「雪村さん、こんばんは。お越しいただきありがとうございます」
「こんばんは、長谷部さん。こちらこそ、お招きありがとうございます」
「こちらのお席へどうぞ」
「ありがとうございます」
脱いだコートを手にして椅子に座ろうとすると、ふと長谷部がめぐの顔を覗き込んだ。
「雪村さん、外寒かったですか?頬が赤いし、目も潤んでます」
「あ、ええ。風が強くて……」
そう答えた時、ふいに長谷部がコートの下のめぐの手を握った。
「本当だ、手が冷たいですね。ちょっと待っててください」
そう言うと踵を返し、ブランケットを持って戻って来た。
「よろしければどうぞ」
「わざわざすみません、お借りします」
「いいえ。コンサート楽しんでください」
「はい、ありがとうございます」
長谷部は優しく微笑んでからまたゲストの案内に戻る。
めぐは席に座り、なんとなく辺りを見渡した。
(毎年空席が目立つって長谷部さん言ってたけど、そうでもないよね。ブライダルフェアに来たカップルか、幸せそうだな)
顔を見合わせて楽しそうにおしゃべりしているカップルに囲まれ、めぐは少し居心地が悪くなる。
その時、真っ白なロングガウンに赤いストールを掛けた15人ほどの聖歌隊が大階段に入場して来た。
めぐは正面に向き直って注目する。
カップル達のざわめきも消え、シンとロビーが静まり返ると、聖歌隊の合唱が始まった。
「聖しこの夜」「もろびとこぞりて」「もみの木」など、誰もが知るクリスマスキャロルが厳かに歌われる。
ロビーに響き渡る透き通った美しい歌声に、めぐはじわりと涙が込み上げてきた。
(素敵……。生の歌声ってこんなに胸がいっぱいになるのね)
クリスマスの聖なる歌に酔いしれ、思わず目を閉じて深呼吸する。
途中にピアノやハンドベルの演奏もあり、めぐは最後までうっとりと聴き惚れた。
めぐの姿を見るなり、笑顔で近づいて来る。
「雪村さん、こんばんは。お越しいただきありがとうございます」
「こんばんは、長谷部さん。こちらこそ、お招きありがとうございます」
「こちらのお席へどうぞ」
「ありがとうございます」
脱いだコートを手にして椅子に座ろうとすると、ふと長谷部がめぐの顔を覗き込んだ。
「雪村さん、外寒かったですか?頬が赤いし、目も潤んでます」
「あ、ええ。風が強くて……」
そう答えた時、ふいに長谷部がコートの下のめぐの手を握った。
「本当だ、手が冷たいですね。ちょっと待っててください」
そう言うと踵を返し、ブランケットを持って戻って来た。
「よろしければどうぞ」
「わざわざすみません、お借りします」
「いいえ。コンサート楽しんでください」
「はい、ありがとうございます」
長谷部は優しく微笑んでからまたゲストの案内に戻る。
めぐは席に座り、なんとなく辺りを見渡した。
(毎年空席が目立つって長谷部さん言ってたけど、そうでもないよね。ブライダルフェアに来たカップルか、幸せそうだな)
顔を見合わせて楽しそうにおしゃべりしているカップルに囲まれ、めぐは少し居心地が悪くなる。
その時、真っ白なロングガウンに赤いストールを掛けた15人ほどの聖歌隊が大階段に入場して来た。
めぐは正面に向き直って注目する。
カップル達のざわめきも消え、シンとロビーが静まり返ると、聖歌隊の合唱が始まった。
「聖しこの夜」「もろびとこぞりて」「もみの木」など、誰もが知るクリスマスキャロルが厳かに歌われる。
ロビーに響き渡る透き通った美しい歌声に、めぐはじわりと涙が込み上げてきた。
(素敵……。生の歌声ってこんなに胸がいっぱいになるのね)
クリスマスの聖なる歌に酔いしれ、思わず目を閉じて深呼吸する。
途中にピアノやハンドベルの演奏もあり、めぐは最後までうっとりと聴き惚れた。



