「お疲れ様です。忘年会の打ち合わせに来ました、広報課の雪村と氷室と申します」
ホテルのフロントで女性スタッフに声をかけると、にこやかに「お疲れ様です。ご案内します」とバックオフィスに案内された。
「ただ今、宴会部門の担当者が参ります。少々お待ちくださいませ」
「はい、ありがとうございます」
出されたコーヒーを飲んでいると、程なくして40代くらいの男性スタッフが現れた。
「お待たせいたしました。宴会部門営業担当の矢田と申します」
めぐと弦も立ち上がって自己紹介すると、名刺を交換した。
「毎年恒例の忘年会ですので、特に変更のご希望がなければ例年通りに進めさせていただきますがいかがでしょう?」
矢田に聞かれて、めぐは弦と顔を見合わせる。
「どうだろう、例年通りでいいかな?」
「そうだな。みんな到着時間もバラバラだから立食形式にして、終盤に景品の抽選会って感じで」
「そうだね。どの部署も忙しい時期だし、顔出すだけで精いっぱいって人も多いもんね」
そう結論を出すと、矢田も頷いた。
「かしこまりました。お料理に関しては毎年同じというのは味気ないので、シェフが趣向を凝らして考えております。幹事の方にはご試食いただくのですが、お二人のご都合はいかがでしょう?よろしければ今夜でもこちらは構いませんが」
「えっ、そうなのですか?」
またしてもめぐは弦と相談する。
二人とも今夜は特に予定はなく、お言葉に甘えて、と業務後にホテルのバンケットルームを訪れることになった。
矢田とは一旦別れてホテルをあとにする。
「幹事って試食出来るんだね!俄然やる気が湧いてきちゃった」
「ははっ!じゃあ毎年幹事に名乗り出るか?」
「それでもいいくらい。あー、お料理楽しみだな」
そんなことを言いながら事務所に向かう。
「料理もいいけど、他にもやることあるぞ。会費を決めて、全社員にお知らせメール送って出欠取って、あとは景品の買い出しも」
「あー、そうだね。会費ってどれくらいだっけ?会社から補助が下りるから、例年4000円くらいだよね?」
「ああ。けど物価高もあるし、それで大丈夫かどうか矢田さんに相談しなきゃな。もし今年から値段を上げたいって言われたら、単純に会費を上げるか、それとも料理のランクを落とすか、もしくは景品の予算を落とすか、調整しなきゃな」
「うん。それにしても氷室くんってほんとに頼りになる。良かった、一緒に幹事やってくれて」
「めぐ一人だと、きっと料理のことで頭がいっぱいになるだろうなと思ってさ」
「えっ、そんなこと!……あるけども」
小声でうつむくめぐに、弦はおかしそうに笑う。
「めぐは今夜の試食をしっかり味わってくれればいいよ。他のことは俺がやるから」
「うん、ありがとう!料理評論家の気分でしっかり試食させていただきます」
二人で笑いながら事務所に入った。
ホテルのフロントで女性スタッフに声をかけると、にこやかに「お疲れ様です。ご案内します」とバックオフィスに案内された。
「ただ今、宴会部門の担当者が参ります。少々お待ちくださいませ」
「はい、ありがとうございます」
出されたコーヒーを飲んでいると、程なくして40代くらいの男性スタッフが現れた。
「お待たせいたしました。宴会部門営業担当の矢田と申します」
めぐと弦も立ち上がって自己紹介すると、名刺を交換した。
「毎年恒例の忘年会ですので、特に変更のご希望がなければ例年通りに進めさせていただきますがいかがでしょう?」
矢田に聞かれて、めぐは弦と顔を見合わせる。
「どうだろう、例年通りでいいかな?」
「そうだな。みんな到着時間もバラバラだから立食形式にして、終盤に景品の抽選会って感じで」
「そうだね。どの部署も忙しい時期だし、顔出すだけで精いっぱいって人も多いもんね」
そう結論を出すと、矢田も頷いた。
「かしこまりました。お料理に関しては毎年同じというのは味気ないので、シェフが趣向を凝らして考えております。幹事の方にはご試食いただくのですが、お二人のご都合はいかがでしょう?よろしければ今夜でもこちらは構いませんが」
「えっ、そうなのですか?」
またしてもめぐは弦と相談する。
二人とも今夜は特に予定はなく、お言葉に甘えて、と業務後にホテルのバンケットルームを訪れることになった。
矢田とは一旦別れてホテルをあとにする。
「幹事って試食出来るんだね!俄然やる気が湧いてきちゃった」
「ははっ!じゃあ毎年幹事に名乗り出るか?」
「それでもいいくらい。あー、お料理楽しみだな」
そんなことを言いながら事務所に向かう。
「料理もいいけど、他にもやることあるぞ。会費を決めて、全社員にお知らせメール送って出欠取って、あとは景品の買い出しも」
「あー、そうだね。会費ってどれくらいだっけ?会社から補助が下りるから、例年4000円くらいだよね?」
「ああ。けど物価高もあるし、それで大丈夫かどうか矢田さんに相談しなきゃな。もし今年から値段を上げたいって言われたら、単純に会費を上げるか、それとも料理のランクを落とすか、もしくは景品の予算を落とすか、調整しなきゃな」
「うん。それにしても氷室くんってほんとに頼りになる。良かった、一緒に幹事やってくれて」
「めぐ一人だと、きっと料理のことで頭がいっぱいになるだろうなと思ってさ」
「えっ、そんなこと!……あるけども」
小声でうつむくめぐに、弦はおかしそうに笑う。
「めぐは今夜の試食をしっかり味わってくれればいいよ。他のことは俺がやるから」
「うん、ありがとう!料理評論家の気分でしっかり試食させていただきます」
二人で笑いながら事務所に入った。



