気持ち良さそうに眠るめぐを起こさないよう、弦は静かに車を走らせる。
なんとも言えず、心が穏やかな幸せに包まれるのを感じた。
自分の気持ちを自覚してめぐに好きだと伝えてから、その想いは日に日に募る一方だった、
だが自分がめぐの気持ちをかき乱してしまったことはずっと後悔している。
だから今こうして、めぐが以前と同じように自分と接してくれているだけで幸せを感じた。
(これ以上の事は望まない。めぐのそばにいられればそれでいい)
めぐと気軽に話しが出来て、めぐが楽しそうに笑ってくれる。
それだけで今の自分にはこの上なく幸せなことなのだから。
もうすぐめぐのマンションに着く頃、弦はふと思い立ってハンドルを切った。
もう少し寝かせてやりたい。
しばらく先まで車を走らせ、ドライブスルーのカフェに寄った。
めぐの好きなホワイトモカとアボカドサーモンのラップサンド、サラダやスープ、フルーツをオーダーする。
そこからめぐのマンションに向かい、到着するとめぐを優しく揺すり起した。
「めぐ?着いたぞ」
「……ん、え?もう着いたの?ごめんなさい、私また寝ちゃってて」
「いいよ、休めたなら良かった。歩けるか?」
「大丈夫。ありがとね」
そう言ってドアを開けて降りようとするめぐに、弦は紙袋を差し出す。
「これ、よかったら夕食代わりに」
「え?なあに?」
受け取った袋の中を見て、めぐは驚く。
「いつの間に買ってくれたの?」
「ん?ドライブスルーでね」
「そうだったんだ。すごいね、私が好きなものばっかり。さすがは氷室くん」
めぐはふふっと笑うと顔を上げた。
「氷室くん」
「ん?なに」
「私ね、環奈ちゃんに言われたの。素直な気持ちを伝えればいいんじゃないかって。だから話してもいい?今の私の気持ちを」
弦はハッとしたように表情を引き締め、ゴクリと喉を鳴らす。
「……うん、聞かせてほしい」
心臓がドキドキとうるさいほど高鳴るのを感じながら、じっとめぐの言葉を待つ。
「氷室くん、私はもう一度友達に戻りたい。何でも気兼ねなく話せた以前の関係に戻りたい。……だめかな?」
自信なさげに、めぐは弦を見上げる。
「氷室くんの求めてる答えではなくてごめんなさい。その答えはまだ見つけられなくて……。これが今の私の正直な気持ちです」
弦は小さく頷いた。
「ああ、もちろんそれでいい。ありがとう、めぐ。今の俺にはめぐのその気持ちが嬉しいよ」
「ほんと?でも嫌になったらいつでも教えてね。私もこれからは、何でも素直な気持ちを伝えるようにするから」
「分かった、俺もそうする。今はただ、こうやってめぐと話せるのが嬉しい」
「そっか、良かった。それじゃあこれからは恋人同盟ではなくて、友達同盟だね。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「これもありがとう。早速いただくね」
めぐは笑顔で紙袋を掲げる。
「ああ。今日は疲れただろうから、ゆっくり休んで」
「ありがとう、氷室くんもね。おやすみなさい」
「おやすみ、めぐ」
車を降りてマンションに入って行くめぐを、弦は穏やかな気持ちで見つめていた。
なんとも言えず、心が穏やかな幸せに包まれるのを感じた。
自分の気持ちを自覚してめぐに好きだと伝えてから、その想いは日に日に募る一方だった、
だが自分がめぐの気持ちをかき乱してしまったことはずっと後悔している。
だから今こうして、めぐが以前と同じように自分と接してくれているだけで幸せを感じた。
(これ以上の事は望まない。めぐのそばにいられればそれでいい)
めぐと気軽に話しが出来て、めぐが楽しそうに笑ってくれる。
それだけで今の自分にはこの上なく幸せなことなのだから。
もうすぐめぐのマンションに着く頃、弦はふと思い立ってハンドルを切った。
もう少し寝かせてやりたい。
しばらく先まで車を走らせ、ドライブスルーのカフェに寄った。
めぐの好きなホワイトモカとアボカドサーモンのラップサンド、サラダやスープ、フルーツをオーダーする。
そこからめぐのマンションに向かい、到着するとめぐを優しく揺すり起した。
「めぐ?着いたぞ」
「……ん、え?もう着いたの?ごめんなさい、私また寝ちゃってて」
「いいよ、休めたなら良かった。歩けるか?」
「大丈夫。ありがとね」
そう言ってドアを開けて降りようとするめぐに、弦は紙袋を差し出す。
「これ、よかったら夕食代わりに」
「え?なあに?」
受け取った袋の中を見て、めぐは驚く。
「いつの間に買ってくれたの?」
「ん?ドライブスルーでね」
「そうだったんだ。すごいね、私が好きなものばっかり。さすがは氷室くん」
めぐはふふっと笑うと顔を上げた。
「氷室くん」
「ん?なに」
「私ね、環奈ちゃんに言われたの。素直な気持ちを伝えればいいんじゃないかって。だから話してもいい?今の私の気持ちを」
弦はハッとしたように表情を引き締め、ゴクリと喉を鳴らす。
「……うん、聞かせてほしい」
心臓がドキドキとうるさいほど高鳴るのを感じながら、じっとめぐの言葉を待つ。
「氷室くん、私はもう一度友達に戻りたい。何でも気兼ねなく話せた以前の関係に戻りたい。……だめかな?」
自信なさげに、めぐは弦を見上げる。
「氷室くんの求めてる答えではなくてごめんなさい。その答えはまだ見つけられなくて……。これが今の私の正直な気持ちです」
弦は小さく頷いた。
「ああ、もちろんそれでいい。ありがとう、めぐ。今の俺にはめぐのその気持ちが嬉しいよ」
「ほんと?でも嫌になったらいつでも教えてね。私もこれからは、何でも素直な気持ちを伝えるようにするから」
「分かった、俺もそうする。今はただ、こうやってめぐと話せるのが嬉しい」
「そっか、良かった。それじゃあこれからは恋人同盟ではなくて、友達同盟だね。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「これもありがとう。早速いただくね」
めぐは笑顔で紙袋を掲げる。
「ああ。今日は疲れただろうから、ゆっくり休んで」
「ありがとう、氷室くんもね。おやすみなさい」
「おやすみ、めぐ」
車を降りてマンションに入って行くめぐを、弦は穏やかな気持ちで見つめていた。



