環奈が関係者用のスペースにテレビクルーを案内してくれていたおかげで、撮影には絶好の場所でショーを観ることが出来た。
パークの中央のレイクガーデンと呼ばれる場所で、水のカーテンに映し出されるレーザーショーを音楽と花火が盛り上げる。
背景の建物にもプロジェクションマッピングが投影され、華やかなクライマックスにゲストからも大きな歓声が上がった。

「お二人とも今日はありがとうございました。とっても楽しかったです」
「楽しんでいただけて何よりです。これからの季節、ハロウィンやクリスマスとイベントも目白押しです。皆様のお越しを心よりお待ちしております」

最後のコメントで無事に撮影は終了した。
めぐと弦は、クルーを出口まで案内する。

「雪村さん、氷室さん。長丁場におつき合いいただいて、ありがとうございました」
「こちらこそ。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

お辞儀をして見送ると、二人は同時にふうと大きく息を吐いた。

「お疲れ、めぐ」
「氷室くんもお疲れ様。もう事務所のみんな帰っちゃっただろうね」
「そうだな、俺達も帰るか。車で来てるんだ。めぐのマンションまで送る」
「え、ほんと?」
「ああ。これ以上足に負担をかけるのは良くないからな」
「ありがとう、助かる」

きっとその為にわざわざ車で来てくれたのだろうと、めぐは弦の気遣いを感じた。
私服に着替えてから事務所を出てパーキングに行き、弦と一緒に車に乗り込む。

「どこか寄って行きたいところあるか?スーパーとか」
「ううん、今日は食材残ってるから大丈夫」
「そうか。ん?眠そうだな、めぐ」
「そんなことないんだけど、この車が乗り心地良くて」
「はは!前にもそんなこと言ってたな。寝てていいよ」
「……ううん、起きてる、から……」

そう言いながらも、めぐはスーッと眠りに落ちた。