「雪村さん、あの。よければ相席してもいいですか?」
社員食堂で環奈とランチを食べていると、トレイを手にした男性社員が近づいて来た。
あれからというもの、めぐはしょっちゅうこんなふうに職場で声をかけられる。
「ごめんなさーい。雪村さんと私、内緒の恋バナしてるんでーす。男子禁制なんで」
環奈が明るく笑って男性をあしらう。
しばらくするとまた別の男性に声をかけられ、「雪村さんに話をする時は、マネージャーの私を通してくださいねー。厳正な審査の結果、当選者のみご連絡いたしまーす」と環奈はにっこり笑顔で追い返していた。
「ごめんね、環奈ちゃん。ゆっくり食事も出来なくて」
「全然!雪村さんのことは私が守りますからね。だから元気出してください。いつもの雪村さんに早く戻って欲しいです」
「ありがとう。私、元気だよ?」
「うーん……。でも氷室さんと話す時は、これまでと別人みたいによそよそしいじゃないですか」
「それは、まあ。新しい氷室くんの彼女に誤解されるようなことがあったらいけないでしょ?」
すると環奈は怒ったような表情になる。
「どうして雪村さんが氷室さんに気を遣う必要があるんですか?傷ついて寂しい思いを抱えてるのは雪村さんですよね?」
「いや、あの、環奈ちゃん。実はね、私達実際には本当につき合って……」
そこまで言った時、男性二人組が声をかけてきた。
「俺達も二人なんだけど、相席していいかな?」
「あ、ごめんなさーい。ここ、あとから友人が二人来るので」
淡々と返す環奈に、思わずめぐも(あれ?誰か来るんだっけ?)と一瞬本気で考えてしまった。
「環奈ちゃん、上手ね」
「でしょ?あしらい名人と名乗らせてください」
「うんうん、もう達人の域だよ」
「えへへー、そんなに?私、雪村さんのマネージャーとしてはうってつけですよね。これからもずっと雪村さんをお守りしますから」
「環奈ちゃん……」
めぐは環奈の優しさに胸がジンとする。
「ありがとう、環奈ちゃん」
「え、やだ!そんな涙ぐまないでくださいよ。私が泣かせたみたい」
「ごめん。これは唐辛子のせいなの」
「グラタンなのに?」
環奈はめぐの手元のマカロニグラタンに目を落とした。
「うっ、そ、そう。グラタンに七味かけちゃって」
「あはは!それは涙出ちゃいますよね」
「そうなの。だから泣いてないからね?」
「はーい。さ、早く食べちゃいましょ」
「うん」
めぐは美味しいグラタンを環奈の楽しいおしゃべりと共に味わった。
社員食堂で環奈とランチを食べていると、トレイを手にした男性社員が近づいて来た。
あれからというもの、めぐはしょっちゅうこんなふうに職場で声をかけられる。
「ごめんなさーい。雪村さんと私、内緒の恋バナしてるんでーす。男子禁制なんで」
環奈が明るく笑って男性をあしらう。
しばらくするとまた別の男性に声をかけられ、「雪村さんに話をする時は、マネージャーの私を通してくださいねー。厳正な審査の結果、当選者のみご連絡いたしまーす」と環奈はにっこり笑顔で追い返していた。
「ごめんね、環奈ちゃん。ゆっくり食事も出来なくて」
「全然!雪村さんのことは私が守りますからね。だから元気出してください。いつもの雪村さんに早く戻って欲しいです」
「ありがとう。私、元気だよ?」
「うーん……。でも氷室さんと話す時は、これまでと別人みたいによそよそしいじゃないですか」
「それは、まあ。新しい氷室くんの彼女に誤解されるようなことがあったらいけないでしょ?」
すると環奈は怒ったような表情になる。
「どうして雪村さんが氷室さんに気を遣う必要があるんですか?傷ついて寂しい思いを抱えてるのは雪村さんですよね?」
「いや、あの、環奈ちゃん。実はね、私達実際には本当につき合って……」
そこまで言った時、男性二人組が声をかけてきた。
「俺達も二人なんだけど、相席していいかな?」
「あ、ごめんなさーい。ここ、あとから友人が二人来るので」
淡々と返す環奈に、思わずめぐも(あれ?誰か来るんだっけ?)と一瞬本気で考えてしまった。
「環奈ちゃん、上手ね」
「でしょ?あしらい名人と名乗らせてください」
「うんうん、もう達人の域だよ」
「えへへー、そんなに?私、雪村さんのマネージャーとしてはうってつけですよね。これからもずっと雪村さんをお守りしますから」
「環奈ちゃん……」
めぐは環奈の優しさに胸がジンとする。
「ありがとう、環奈ちゃん」
「え、やだ!そんな涙ぐまないでくださいよ。私が泣かせたみたい」
「ごめん。これは唐辛子のせいなの」
「グラタンなのに?」
環奈はめぐの手元のマカロニグラタンに目を落とした。
「うっ、そ、そう。グラタンに七味かけちゃって」
「あはは!それは涙出ちゃいますよね」
「そうなの。だから泣いてないからね?」
「はーい。さ、早く食べちゃいましょ」
「うん」
めぐは美味しいグラタンを環奈の楽しいおしゃべりと共に味わった。



