はい、カットー!とスタッフの声がかかり、一旦カメラが止められた。
次の瞬間、グーッとめぐのお腹が鳴る。
「でっかい音だな、めぐ。朝メシ食ってないのかよ?」
弦が呆れたように声をかけた。
「だってギリギリまで寝てたんだもん。5時起きだよ?もう起きるだけで精いっぱい」
「やれやれ。カメラ止まったあとで良かったな。あやうくNGになるとこだったぞ」
「ほんとだよね。ナイスタイミング!」
右手でガッツポーズをしながら、めぐは弦とアトラクションの乗り場に向かう。
アナウンサーやカメラマンと一緒に、今日オープンする「ウォーターフォール」を一足早く体験することになっていた。
最前列にアナウンサーとハンディカメラを持ったカメラマン、その後ろの列にめぐと弦が乗り込んだ。
安全バーが肩からしっかりと下ろされる。
「ではカメラ回りまーす。よーい、スタート!」
合図のあと、4人が乗ったゴンドラはゆっくりと動き始めた。
トンネルを抜けた先には、カナダの風景が美しく広がっている。
メープル街道や山脈、湖にオーロラ……。
めぐは弦と一緒にうっとりと見とれた。
「わあ、綺麗だね」
「ああ、想像以上にリアルだな」
前列のアナウンサーが「とっても素敵です!」と興奮気味に話すのをカメラが捉えている。
「なんて壮大なの、まさに大自然。ひゃー、オーロラ!すごい、手が届きそう」
めぐは思わず手を伸ばしてはしゃいだ声を上げた。
やがて美しいオーロラの下をくぐり抜けると、ザーッという水の音と共に視界が開ける。
目の前に空が広がり、めぐは「えっ!」と固まった。
「ひ、氷室くん!」
隣の弦の服をガシッと掴む。
「なになになに?これからどうなるの?」
「ん?カナダときたらナイアガラの滝だからな。ラストの目玉は、左右の水しぶきの中を垂直落下!って、お前資料読んでないの?」
「知らない。こんなの聞いてない」
「108メートルの高さからストレートドロップ!って、あれ?そういえば、めぐって絶叫マシン苦手じゃなかったっけ?」
めぐは半泣きになりながら、顔を引きつらせてコクコクと頷く。
「おまっ、大丈夫かよ!?」
「無理無理無理ー!助けて、降ろして!」
弦の腕をガシッと掴み、めぐは必死に懇願する。
が、その間もゴンドラは進み続け、遂にレールの先端に達した。
空にせり出したゴンドラに、めぐは顔面蒼白になる。
「氷室くん、怖い!」
「めぐ。手、貸せ」
弦はめぐの手を取り、指と指を絡めてギュッと握りしめた。
次の瞬間ガコンと音がして、ゴンドラは一気に地上へと急降下する。
「イヤーーー!!」
空を切り裂くように、めぐの絶叫が響き渡る。
胃が浮くような感覚に耐えながら、めぐは弦と繋いだ手を力いっぱいねじり上げた。
「イテッ!やめろ、めぐ!」
「無理!ヒーー、怖いーー!!」
渾身の力で弦の手を握りしめていると、スッとスピードが緩んでゴンドラは無事に地上に着いた。
次の瞬間、グーッとめぐのお腹が鳴る。
「でっかい音だな、めぐ。朝メシ食ってないのかよ?」
弦が呆れたように声をかけた。
「だってギリギリまで寝てたんだもん。5時起きだよ?もう起きるだけで精いっぱい」
「やれやれ。カメラ止まったあとで良かったな。あやうくNGになるとこだったぞ」
「ほんとだよね。ナイスタイミング!」
右手でガッツポーズをしながら、めぐは弦とアトラクションの乗り場に向かう。
アナウンサーやカメラマンと一緒に、今日オープンする「ウォーターフォール」を一足早く体験することになっていた。
最前列にアナウンサーとハンディカメラを持ったカメラマン、その後ろの列にめぐと弦が乗り込んだ。
安全バーが肩からしっかりと下ろされる。
「ではカメラ回りまーす。よーい、スタート!」
合図のあと、4人が乗ったゴンドラはゆっくりと動き始めた。
トンネルを抜けた先には、カナダの風景が美しく広がっている。
メープル街道や山脈、湖にオーロラ……。
めぐは弦と一緒にうっとりと見とれた。
「わあ、綺麗だね」
「ああ、想像以上にリアルだな」
前列のアナウンサーが「とっても素敵です!」と興奮気味に話すのをカメラが捉えている。
「なんて壮大なの、まさに大自然。ひゃー、オーロラ!すごい、手が届きそう」
めぐは思わず手を伸ばしてはしゃいだ声を上げた。
やがて美しいオーロラの下をくぐり抜けると、ザーッという水の音と共に視界が開ける。
目の前に空が広がり、めぐは「えっ!」と固まった。
「ひ、氷室くん!」
隣の弦の服をガシッと掴む。
「なになになに?これからどうなるの?」
「ん?カナダときたらナイアガラの滝だからな。ラストの目玉は、左右の水しぶきの中を垂直落下!って、お前資料読んでないの?」
「知らない。こんなの聞いてない」
「108メートルの高さからストレートドロップ!って、あれ?そういえば、めぐって絶叫マシン苦手じゃなかったっけ?」
めぐは半泣きになりながら、顔を引きつらせてコクコクと頷く。
「おまっ、大丈夫かよ!?」
「無理無理無理ー!助けて、降ろして!」
弦の腕をガシッと掴み、めぐは必死に懇願する。
が、その間もゴンドラは進み続け、遂にレールの先端に達した。
空にせり出したゴンドラに、めぐは顔面蒼白になる。
「氷室くん、怖い!」
「めぐ。手、貸せ」
弦はめぐの手を取り、指と指を絡めてギュッと握りしめた。
次の瞬間ガコンと音がして、ゴンドラは一気に地上へと急降下する。
「イヤーーー!!」
空を切り裂くように、めぐの絶叫が響き渡る。
胃が浮くような感覚に耐えながら、めぐは弦と繋いだ手を力いっぱいねじり上げた。
「イテッ!やめろ、めぐ!」
「無理!ヒーー、怖いーー!!」
渾身の力で弦の手を握りしめていると、スッとスピードが緩んでゴンドラは無事に地上に着いた。



