厳かなチャペルにオルガンの音色が響き渡る。
後方の扉が大きく開かれて、弦は息を呑んだ。
ステンドグラスから射し込む光の中に、純白のウエディングドレスに身を包んだめぐの姿があった。
父親と腕を組み、一礼したあと、一歩一歩バージンロードを踏みしめながら歩いて来る。
ほっそりとした首筋と綺麗な肩のライン、そこからスラリと伸びた腕には美しいブーケ。
髪もアップでまとめ、煌めくティアラはどこかの国のプリンセスのよう。
細いウエストから流れるように広がるドレスは、めぐの気品と美しさによく似合っていた。
やがて弦のもとへとたどり着き、めぐは顔を上げる。

「めぐ、すごく綺麗だ」
「弦くんも。とっても素敵」

シルバーグレーの衣裳に身を包んだ弦もまた、抜群のスタイルの良さで惚れ惚れするほどかっこいい。
列席者が見とれる中、二人はしっかりと腕を組んで祭壇を上がった。

クリスマスコンサートの時の聖歌隊が、綺麗な声で讃美歌を歌い上げる。
めぐは美しい響きに感動して涙ぐんだ。

やがて二人は向かい合い、指輪を交換する。
二人の指に息づく愛の証。
マリッジリングの内側には、アイスブルーダイヤモンドでかたどったブルースターが埋め込まれていた。

「めぐ、恋人同盟は解消だ。今日からは夫婦同盟を結ぼう。未来永劫の」
「未来永劫の、夫婦同盟……?」
「ああ。俺は一生をかけて、めぐを幸せに守り続ける」
「はい」

めぐの瞳から涙がこぼれ落ちる。
弦は指先でそっとその涙を拭ってからめぐの肩に手を置き、愛を込めてキスを贈った。

列席者から温かい祝福の拍手が起こり、バージンロードを腕を組んで歩き始めた二人は、ブルーのフラワーシャワーを浴びながら笑顔で見つめ合った。