「わあ、雪村さん、そのワンピース可愛い!ラベンダーカラー、とってもお似合いです」
「ほんと?良かった」
「袖もスカートもふわっとしてて、雪村さんのイメージにぴったり!氷室さん、惚れ直しちゃうだろうなあ」

めぐはオフィススタイルのブラウスとフレアスカートから、この日の為に新調したワンピースに着替える。
環奈はめぐの姿にうっとりしてから、パウダーを取り出した。

「ちょっと目をつぶっててくださいね」
「うん」

手の甲で少し試してから、環奈はめぐの頬や首筋、デコルテにもパウダーをのせていく。

「雪村さん、手を貸してください」
「え、手にもつけるの?」
「そう。指先にも」

環奈は、ふふっと笑いながら左手の薬指に特に念入りにつけた。

「はい!完成です。あとは香水を少しだけ……」

そう言って、めぐから離れた位置で頭上にシュッとスプレーする。

「これでよし!じゃあ、雪村さん。素敵な誕生日の夜を」
「うん。ありがとう、環奈ちゃん」

めぐは環奈に手を振ってから、更衣室を出た。