「おはようございます」
「おはよ……!?」
翌朝、出社しためぐを見るなり、弦は言葉に詰まって目を見開いた。
(な、な、なんだ?どうした?めぐが、めぐが……)
ドキドキしながらじっとめぐを観察する。
髪がふわりと揺れて形のいいおでこが覗き、メイクもいつもより大人っぽい。
ぱっちりとした目元とほのかにピンクに染まる頬、ふっくらと艶やかな唇に透き通るような白い肌。
更には鎖骨のラインが綺麗にみえるニットとスリットが入ったタイトスカートで、綺麗なお姉さんどころか磨きがかかった美女としか思えない。
「めぐ、ちょっとこっち」
とにかくマズイと、弦はめぐの手を取って給湯室に向かった。
「めぐ、どうした?何があった?」
「えっと、昨日環奈ちゃんと一緒に色々回ったの。美容院とかエステサロンとか。コスメとお洋服も選んでもらって」
「それはまたどうして?」
「だって……」
口ごもると、めぐは上目遣いに弦を見上げる。
「いつまでも子どもっぽいと思われたくなくて。つり合う彼女になりたかったの、弦くんの」
ガタッと弦は後ずさる。
(いかんいかん……。そんな大人っぽい格好でチラリの上目遣いとか、俺につり合う彼女になりたいなんて可愛いセリフとか、何よりここにきて弦くん呼び!あー、破壊力ハンパない)
胸元を掴んで必死に気持ちを落ち着かせていると、めぐが顔を覗き込んできた。
「大丈夫?弦くん」
「ああ、大丈夫。全然大丈夫。めぐ、今夜めぐのマンション行ってもいいか?ちょっと、色々話がしたい」
「え、うん!もちろん」
(いやいや、だから。そんな可愛く笑ってくれるなー!)
心の中で叫びつつ、余裕ぶる。
「じゃあ、放課後にな」
「放課後?定時後じゃなくて?」
「まあ、そうとも言うな。じゃ」
軽く手を挙げて颯爽と去る。
仕事中はなんとかいつも通り集中して乗り切ったが、昼休みに社員食堂に行くと、驚きの光景が待っていた。
(なんだ?あの人だかり)
不思議に思いつつ近づくと、男性社員がめぐの周りをぐるりと取り囲んでいる。
「雪村さん、今夜ひと晩だけでいいから。ね?」
「俺達と飲みに行ってください」
「よろしくお願いします!」
「一生の思い出にしたいんです」
「明日からはきっぱり諦めますから」
口々にめぐに詰め寄るのを見て、弦はカーッと頭に血が上る。
(おのれ、集団ナンパか!?)
急いで駆け寄ると男性達をかき分け、めぐの肩を抱き寄せた。
「めぐは俺のものだ。誰一人、指一本触れさせないからな」
グッとめぐを胸に抱きしめて睨みを利かせると、男性達は凍りつく。
「すごっ、氷室さんが本気出した」
「勝ち目はまるでない」
すみませんでした、と頭を下げてすごすごと去って行った。
「おはよ……!?」
翌朝、出社しためぐを見るなり、弦は言葉に詰まって目を見開いた。
(な、な、なんだ?どうした?めぐが、めぐが……)
ドキドキしながらじっとめぐを観察する。
髪がふわりと揺れて形のいいおでこが覗き、メイクもいつもより大人っぽい。
ぱっちりとした目元とほのかにピンクに染まる頬、ふっくらと艶やかな唇に透き通るような白い肌。
更には鎖骨のラインが綺麗にみえるニットとスリットが入ったタイトスカートで、綺麗なお姉さんどころか磨きがかかった美女としか思えない。
「めぐ、ちょっとこっち」
とにかくマズイと、弦はめぐの手を取って給湯室に向かった。
「めぐ、どうした?何があった?」
「えっと、昨日環奈ちゃんと一緒に色々回ったの。美容院とかエステサロンとか。コスメとお洋服も選んでもらって」
「それはまたどうして?」
「だって……」
口ごもると、めぐは上目遣いに弦を見上げる。
「いつまでも子どもっぽいと思われたくなくて。つり合う彼女になりたかったの、弦くんの」
ガタッと弦は後ずさる。
(いかんいかん……。そんな大人っぽい格好でチラリの上目遣いとか、俺につり合う彼女になりたいなんて可愛いセリフとか、何よりここにきて弦くん呼び!あー、破壊力ハンパない)
胸元を掴んで必死に気持ちを落ち着かせていると、めぐが顔を覗き込んできた。
「大丈夫?弦くん」
「ああ、大丈夫。全然大丈夫。めぐ、今夜めぐのマンション行ってもいいか?ちょっと、色々話がしたい」
「え、うん!もちろん」
(いやいや、だから。そんな可愛く笑ってくれるなー!)
心の中で叫びつつ、余裕ぶる。
「じゃあ、放課後にな」
「放課後?定時後じゃなくて?」
「まあ、そうとも言うな。じゃ」
軽く手を挙げて颯爽と去る。
仕事中はなんとかいつも通り集中して乗り切ったが、昼休みに社員食堂に行くと、驚きの光景が待っていた。
(なんだ?あの人だかり)
不思議に思いつつ近づくと、男性社員がめぐの周りをぐるりと取り囲んでいる。
「雪村さん、今夜ひと晩だけでいいから。ね?」
「俺達と飲みに行ってください」
「よろしくお願いします!」
「一生の思い出にしたいんです」
「明日からはきっぱり諦めますから」
口々にめぐに詰め寄るのを見て、弦はカーッと頭に血が上る。
(おのれ、集団ナンパか!?)
急いで駆け寄ると男性達をかき分け、めぐの肩を抱き寄せた。
「めぐは俺のものだ。誰一人、指一本触れさせないからな」
グッとめぐを胸に抱きしめて睨みを利かせると、男性達は凍りつく。
「すごっ、氷室さんが本気出した」
「勝ち目はまるでない」
すみませんでした、と頭を下げてすごすごと去って行った。



