アクアは母・愛との再会後、少しずつ心の中に抱えていた憎しみや恨みを解消していこうとする。しかし、心の中には複雑な感情が渦巻いており、愛との時間が一層貴重で大切に思える一方、復讐心が静かに芽生えている自分を感じていた。そんな中、愛から「これからは二度と過去のことを引きずらずに、前を向いて歩いてほしい」と言われ、その言葉に胸を打たれる。しかし、アクアは「前を向くことができるのは、あなたが生きているからだ」と心の中で呟く。あの日、母を失ったことが、今の自分を作り上げているのだと思うと、心が切なくなる。

愛との再会がもたらした幸福感の中で、アクアは徐々に心の傷を癒やしつつあったが、復讐心は完全に消えたわけではなかった。そんな中、家族みんなで団欒している夜、ユウキがふと真剣な表情を浮かべる。

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」と言うユウキに、愛やルビー、アクアは一瞬驚いた表情を見せた。「どうしたの？」と愛が促すと、ユウキは視線をアクアに向けた後、ルビーをじっと見つめた。

「ルビー、君は兄さんのことをどう思ってる？」とユウキが問いかけると、ルビーは戸惑いながら答えた。「え？ どう思ってるって……普通に、優しい兄だと思ってるよ。」

ユウキは少しの間を置き、静かに口を開いた。「でも、それだけじゃないんだよ。ルビー、君は知らないかもしれないけど、アクア兄さんには……前世の記憶がある。そして、その前世で兄さんは『雨宮吾郎』という名前だった。」

その瞬間、ルビーの表情は凍りついた。「……前世？ 雨宮吾郎って……それって、ママを担当してた医者のこと？」

アクアは息を飲み、ルビーが衝撃を受けるのを黙って見守った。ユウキは続ける。「そう。アクア兄さんは、前世で星野アイを救おうとしてた医者だったんだ。そして、今こうして再び家族になった。」

ルビーはその場で立ち上がり、アクアを見つめた。「本当なの……？」

アクアはしばらくの沈黙の後、静かに頷いた。「そうだよ。俺は前世で雨宮吾郎だった。でも、今はお前の兄だ。それだけは変わらない。」

「なんで……なんで、今まで黙ってたの？」とルビーが涙を浮かべながら問いかけると、アクアは少し苦しげな表情を浮かべた。「お前に言うべきか、ずっと悩んでたんだ。俺の過去は、お前にとって重荷になるかもしれないと思ったから。」

ルビーはその場で涙を流しながら、「ずっと一人で抱え込んでたなんて……そんなの、ひどいよ……」と声を震わせた。

その後、愛がそっとルビーに寄り添い、「大丈夫だよ、ルビー。アクアもユウキも、みんなが家族だよ」と優しく抱きしめる。愛の言葉に、ルビーは少しずつ心を落ち着けた。

「私、まだ混乱してるけど……でも、家族がいる限り、私も強くなれるって信じたい」とルビーは微笑みながら言い、兄との新たな関係を受け入れる覚悟を見せた。


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