「お花は優しく持ってあげてね。包み込むみたいな感じ。土も優しく被せてあげて」

「こ、こうかな?」

「そうそう!いい感じだよ!」

苗を一つずつ丁寧に植えていく。すると蒼が「うわぁ!!」と大きな声を上げた。「どうしたの?」と花音が蒼の方を見ると、土の中からミミズがひょっこりと顔を出している。

「……もしかして、虫苦手?」

花音が訊ねると、蒼は顔を真っ青にしながらコクコクと頷く。花音はミミズを摘み上げると自分の植えた苗の近くにそっと置いた。

「も、桃瀬さんは虫平気なの?」

「ん〜、青虫とかミミズは怖くないよ。中学生までおじいちゃんの家に行ったらカブトムシ捕まえてたし。蜂とかムカデは怖いけどね」

「じゃあGは?」

「あれ、怖くない人って逆にいるの?」

花音が笑うと蒼もフフッと笑う。苗植えは無事に終わった。



苗植えをしてから、花音と蒼はよく話すようになった。学級委員長と副委員長としての業務連絡だけでなく、プライベートな話も花の世話をしながらすることが増えた。