モノノケモノ

「ごめんって!

じゃあ呉羽さん呼ぶからいいよ。

陽奈ちゃんとのデートに戻るといいよ」


明星は盛大に溜息をついた。


「もういいよ……。

で?なんか聞きたいことあるんだろ?」


そうだった。


「あのさー……」


「そんなところで話すのもなんだから、上がってもらったら?」


私が口を開いたとたんに、祖母が声をかけてきた。

祖母を見るなり明星が、げっ!という顔をする。

そういえば、「よく追い掛け回された」とか言ってたな。


「そうだよ。

ばあちゃんのお土産のまんじゅうもあるよ」


「まぁ……じゃあ……」


明星はしぶしぶ、といった感じで靴を脱いだ。

食べ物に釣られるとは、単純なやつめ。