散らかったリビングの棚には、二人で撮った写真がフレームに入れられてたくさん飾られている。二人でクリスマスパーティーをした時の写真、初めて二人で旅行に行った時の写真、夏祭りに行った時の写真ーーー。どの写真も二人は笑顔だ。

僕は写真の中の笑顔の君をそっと指先で撫でる。目の前がぼやけていった。もうあの日から三ヶ月以上経つというのに、未だにこの心は悲しみの海に沈んでいる。

その暗くて深い海の中には、君と過ごしたささやかでも幸せな思い出がキラキラと輝いている。その思い出に触れるたびに、鮮明に過去の幸せだった気持ちが心に蘇ってくる。……もう、あの頃には戻れない。

君と僕との出会いは、共通の友人から紹介されたことだった。笑った時にできるえくぼが可愛くて、今思えば一目惚れだったのかもしれない。

同じ小説家が好きで、話が止まることはなかった。何度もお互いに「会いましょう」と誘って、気が付いたら付き合っていた。