週末を楽しんで、夜行性だった2人の生活もほどなく朝型に変わっていった。
心奈のコンビニバイトも朝7時から16時に変わり、明るい時間帯になったから、自転車通勤も許されて、それが日常になっていく。
しかし、未だに心奈宅に入った泥棒は捕まってはおらず、紫音のアプリの見守りはもちろん、防犯ベルなどのアイテムも増えていく一方だ。
今日は昼過ぎから降り出した雨の為、心奈は傘をさして歩いて帰る事にする。
雨は嫌いじゃない。
ザザーという雨音は不思議と心が落ち着くし、湿気で髪がまとまらないとか、靴先が濡れて冷たいとか、それさえもなんだか季節を感じてウキウキしてしまうくらいだ。
紫音と暮らし始めてから、気持ちが落ち着き毎日飲んでいた薬も飲まなくなっていた。心が安定しているのを心奈自身もホッとしている。
今夜はカレーにしようかな?
そう思い近くのスーパーに寄る。こんな当たり前の事も今までは気合いが欲しかったから、全て紫音のお陰だと、感謝してもしきれない毎日だ。
ジャガイモ、人参と…玉ねぎはまだ残ってた筈…頭の中で思いながら一通りの買い物を終え、傘をさして紫音の待つ家へと帰る。
その途中、最近出来た小さなパン屋さんにも寄る事にする。朝食は決まってパンだから、紫音の好きな硬めのパンと、心奈が今はまっている塩パンを購入する。
お店を出ると片手にエコバッグ、小脇にパンを抱いて傘をさす。さすがに買いすぎたかなと思うけど、家まであと2、3分ほどだから大丈夫だろうと歩き出す。
角を曲がれば後は直線の道のみというところまで来て、
「葉月!」
と、後方から声をかけられて、ビックッとして立ち止まる。
まさか…!?
瞬間、ドクンと心奈の心臓が嫌な音を立てて鳴り始める。
聞き覚えのある声…そしてもう2度と聞く事はないと思っていた声…。
振り返るのも怖くて傘を持つ手が震え出す。
それでも恐る恐る振り返ると、やはりそこには二度と会いたくない人がいた…。
「梶原先輩…」
前の会社で心奈を退職に追いやった張本人、梶原宏樹(かじわら ひろき)がそこに居た。
なぜ…?
偶然にしても、こんなに広い世界でばったり会うなんて出来るだろうか…?
心奈の頭の中はパニック状態だ。
心奈のコンビニバイトも朝7時から16時に変わり、明るい時間帯になったから、自転車通勤も許されて、それが日常になっていく。
しかし、未だに心奈宅に入った泥棒は捕まってはおらず、紫音のアプリの見守りはもちろん、防犯ベルなどのアイテムも増えていく一方だ。
今日は昼過ぎから降り出した雨の為、心奈は傘をさして歩いて帰る事にする。
雨は嫌いじゃない。
ザザーという雨音は不思議と心が落ち着くし、湿気で髪がまとまらないとか、靴先が濡れて冷たいとか、それさえもなんだか季節を感じてウキウキしてしまうくらいだ。
紫音と暮らし始めてから、気持ちが落ち着き毎日飲んでいた薬も飲まなくなっていた。心が安定しているのを心奈自身もホッとしている。
今夜はカレーにしようかな?
そう思い近くのスーパーに寄る。こんな当たり前の事も今までは気合いが欲しかったから、全て紫音のお陰だと、感謝してもしきれない毎日だ。
ジャガイモ、人参と…玉ねぎはまだ残ってた筈…頭の中で思いながら一通りの買い物を終え、傘をさして紫音の待つ家へと帰る。
その途中、最近出来た小さなパン屋さんにも寄る事にする。朝食は決まってパンだから、紫音の好きな硬めのパンと、心奈が今はまっている塩パンを購入する。
お店を出ると片手にエコバッグ、小脇にパンを抱いて傘をさす。さすがに買いすぎたかなと思うけど、家まであと2、3分ほどだから大丈夫だろうと歩き出す。
角を曲がれば後は直線の道のみというところまで来て、
「葉月!」
と、後方から声をかけられて、ビックッとして立ち止まる。
まさか…!?
瞬間、ドクンと心奈の心臓が嫌な音を立てて鳴り始める。
聞き覚えのある声…そしてもう2度と聞く事はないと思っていた声…。
振り返るのも怖くて傘を持つ手が震え出す。
それでも恐る恐る振り返ると、やはりそこには二度と会いたくない人がいた…。
「梶原先輩…」
前の会社で心奈を退職に追いやった張本人、梶原宏樹(かじわら ひろき)がそこに居た。
なぜ…?
偶然にしても、こんなに広い世界でばったり会うなんて出来るだろうか…?
心奈の頭の中はパニック状態だ。