「ごめん…調子づいてやり過ぎた。行こう。」
いつの間にか近くに来ていた紫音さんが、そう言って私に手を差し出してくるから、少し戸惑う。
「紫音さん…握手だけして別れましょ。
ピアニストのSIONだってきっと気付かれてます。先に部屋に戻っててください。」
小声でそう急いで伝えると、立ち上がってファンが握手をするような体で手を握る。
「そんなの嫌だ…離さないから。」
紫音さんがそう言って握りしめた手を離さない。
「だ、駄目です…。ほら、孤高のプリンスのイメージが…。」
さっき見たポスターが頭に浮かぶ。
「俺はイメージなんて気にしない。外見だけで判断されるなんてのもクソ喰らえだ。実力で勝負してるから問題ない。」
キッパリそう言って、私の手を引っ張り歩き出す。
ハッと気付く。
私は…なんて事を言ってしまったんだろうと…彼はいつだって戦っていたんだ。1人で…
その見た目の良さのせいで、勝手に一人歩きしてしまうイメージやレッテル…いろいろなものに、負けない実力をつける為にきっと、日々努力して鍛錬を重ね、今の彼がここにいる。
それなのに彼の味方でいるべき私が、体裁ばかり気にして、知らないうちに彼の実力を軽視してしまっていた…。
エレベーターに乗って2人っきりになった時、気まずい空気が流れる。
「…ごめんなさい。つい、私なんかと一緒にいたらイメージ悪くなっちゃうって思って、勝手に心配して…。怒らせてしまいましたか…?」
彼を傷つけたのではないかと自己嫌悪する。
「…怒ってはない。ただ、俺は心奈の存在を誰にも隠すつもりは無いから。だけど、世間に知られて俺のせいで心奈が生き難くなるのも怖い。
その事でずっと葛藤してるんだ。
君を大切にしたいのに…守りたいのにそれすらも出来なくなるんじゃ無いかって…。」
前を見据えたまま、紫音さんが心のうちを打ち明けてくれた。その大きな背中を見つめ、この人の思いに寄り添いたいと強く思う。
有名人であるが故に今までも、これからもずっとプライベートが晒されるかもしれないと、不安を抱き続けて生きて行かなければならない。そんな彼の孤独を知る。
そんな大きな背中をそっと抱きしめる。
「さっきのキラキラ星、素敵でした。感動しました。凄い人だなって改めて思いました。紫音さんの生きたいように生きて欲しい。
私は自分に自信がなさ過ぎて…すぐに後ろ向きになってしまいますが…いつか、あなたの隣にふさわしい人間になりたい。」
今日ほどそう思った事はない。
さっき逃げようとした後ろ目たさに心がズキズキと痛むけど、今思う素直な気持ちを伝える。
「心奈はそのままでいいんだ。無理に変わろうとしないで欲しい。ありのままの君が好きだから、愛してる。
…俺も抱きしめたいんだけど…。」
背中から回していた手をそっと外されて、振り返る彼に正面からぎゅっと抱きしめられる。
「私も…大好きです。」
自信が無くて弱気で、怖がりな私を大きな愛で包んでくれる彼が、愛おしくて胸がぎゅっとなる。
そっと降りてきた暖かな唇に溺れる。
部屋に到着しても、またぎゅっと抱きしめられて深い口付けを交わす。
私はドキドキと高鳴る自分の心臓の音を聞きながら、思考回路も上手く回らず、彼から与えられる甘く痺れるこの感覚に身を委ねるしかなかった。
口内を舐め回されて、舌を吸われ、呼吸も乱れ、ただただ彼にしがみ付くしか無くて…。この人ともっと深く繋がりたいと、心の奥で欲が疼く。
いつの間にか近くに来ていた紫音さんが、そう言って私に手を差し出してくるから、少し戸惑う。
「紫音さん…握手だけして別れましょ。
ピアニストのSIONだってきっと気付かれてます。先に部屋に戻っててください。」
小声でそう急いで伝えると、立ち上がってファンが握手をするような体で手を握る。
「そんなの嫌だ…離さないから。」
紫音さんがそう言って握りしめた手を離さない。
「だ、駄目です…。ほら、孤高のプリンスのイメージが…。」
さっき見たポスターが頭に浮かぶ。
「俺はイメージなんて気にしない。外見だけで判断されるなんてのもクソ喰らえだ。実力で勝負してるから問題ない。」
キッパリそう言って、私の手を引っ張り歩き出す。
ハッと気付く。
私は…なんて事を言ってしまったんだろうと…彼はいつだって戦っていたんだ。1人で…
その見た目の良さのせいで、勝手に一人歩きしてしまうイメージやレッテル…いろいろなものに、負けない実力をつける為にきっと、日々努力して鍛錬を重ね、今の彼がここにいる。
それなのに彼の味方でいるべき私が、体裁ばかり気にして、知らないうちに彼の実力を軽視してしまっていた…。
エレベーターに乗って2人っきりになった時、気まずい空気が流れる。
「…ごめんなさい。つい、私なんかと一緒にいたらイメージ悪くなっちゃうって思って、勝手に心配して…。怒らせてしまいましたか…?」
彼を傷つけたのではないかと自己嫌悪する。
「…怒ってはない。ただ、俺は心奈の存在を誰にも隠すつもりは無いから。だけど、世間に知られて俺のせいで心奈が生き難くなるのも怖い。
その事でずっと葛藤してるんだ。
君を大切にしたいのに…守りたいのにそれすらも出来なくなるんじゃ無いかって…。」
前を見据えたまま、紫音さんが心のうちを打ち明けてくれた。その大きな背中を見つめ、この人の思いに寄り添いたいと強く思う。
有名人であるが故に今までも、これからもずっとプライベートが晒されるかもしれないと、不安を抱き続けて生きて行かなければならない。そんな彼の孤独を知る。
そんな大きな背中をそっと抱きしめる。
「さっきのキラキラ星、素敵でした。感動しました。凄い人だなって改めて思いました。紫音さんの生きたいように生きて欲しい。
私は自分に自信がなさ過ぎて…すぐに後ろ向きになってしまいますが…いつか、あなたの隣にふさわしい人間になりたい。」
今日ほどそう思った事はない。
さっき逃げようとした後ろ目たさに心がズキズキと痛むけど、今思う素直な気持ちを伝える。
「心奈はそのままでいいんだ。無理に変わろうとしないで欲しい。ありのままの君が好きだから、愛してる。
…俺も抱きしめたいんだけど…。」
背中から回していた手をそっと外されて、振り返る彼に正面からぎゅっと抱きしめられる。
「私も…大好きです。」
自信が無くて弱気で、怖がりな私を大きな愛で包んでくれる彼が、愛おしくて胸がぎゅっとなる。
そっと降りてきた暖かな唇に溺れる。
部屋に到着しても、またぎゅっと抱きしめられて深い口付けを交わす。
私はドキドキと高鳴る自分の心臓の音を聞きながら、思考回路も上手く回らず、彼から与えられる甘く痺れるこの感覚に身を委ねるしかなかった。
口内を舐め回されて、舌を吸われ、呼吸も乱れ、ただただ彼にしがみ付くしか無くて…。この人ともっと深く繋がりたいと、心の奥で欲が疼く。



