求婚は突然に…       孤独なピアニストの執着愛

その週末から朝方に変える為、昼間に寝ないよう2人で出かけようと言う事になる。

初めてのデートという記念すべき今日は、観光地でもある海の近くの苺狩りに決まる。

それというのも今朝のTVニュースで、苺狩りを特集していて心奈が食いついて観ていたからだ。

『行ってみたいのか?』と紫音に聞かれたから『行った事がないので、どんなとこなんだろうって思って。』と何気なく返しただけだったのに…。

どうせなら一泊しようと言う事になり、荷物を詰めて出発したのはお昼前、思いがけず長いドライブを楽しんで、宿に到着したのは午後の3時を回っていた。

なんでも、この辺りでは1番大きな宿だと言う老舗旅館で、部屋に通され景色を見渡せば知らずと心奈のテンションも上がる。
部屋内を見て回る心奈を、縁側に並べられた椅子に座り、ボォーっと見ていた紫音だったが、

「紫音さん、お風呂に露天風呂が付いてますよ!」
心奈の嬉しそうな声に呼ばれ、フッと笑顔が漏れる。

「心奈が一緒に入りたいなら喜んで入るよ。」
悪戯っぽい目をしてそう言うと、

「えっ…い、一緒に!?む、無理、無理、無理です!」
真っ赤になって無理を連呼する心奈に、紫音が大笑いする。