直ぐにトランクを持って来てくれた紫音さんは、車を出して自宅へと向かう。
大きなタワーマンションの地下の駐車場に滑り込んで行く。そこは私のバイト先から本当に直ぐ側だった。
こんなに近くにいたのに、今までなん往復もさせてしまっていたんだと、申し訳なさが心に巣食う。
最上階に向かうエレベーターに乗り込むと、小さくなって行く景色にバイト先のコンビニが小さく見える。
「あっ…。」
と、私が小さく言うと、
「俺の部屋からも心奈の働くコンビニが見えるんだ。いつも、その景色を見て心奈の頑張る姿を思い出してたよ。」
そう言って小さく笑う紫音さんが、とても愛しく思い衝動的に抱きついてしまう。
そんな私を受け止めて優しくそっと抱きしめてくれた。
「いろいろありがとうございます…。ご迷惑をおかけしてすいません。紫音さんが側にいてくれて凄く心強いです。」
そう伝えると、
「俺も、心奈のピンチに側にいられて良かった。もう心配入らないから、好きなだけ甘えてくれればいい。ずっといてくれたって構わないんだからな。」
そう言ってくれて力が抜けるほどホッとした。
タワーマンションの最上階、絨毯張りの廊下を歩く。ここはホテル⁉︎と勘違いしてしまう程の豪華さだ。
「お邪魔します…。」
大きな両開きの玄関ドアが自動に開く。
「凄い…。」
言葉が出ないとは、今、この瞬間の事を指すのだろうと思うほどに…。
口をぽかんと開けて全面ガラス張りの窓から見える景色に唖然とする。
まるでスカイタワーのような観光地に来たみたいだ。
「あそこ、分かるかな?心奈のコンビニだよ。」
紫音さんが隣に来て指差してくれる。
駅の側の噴水のある公園と朝まで働いていたコンビニを見つけた。
「こんなにコンビニの近くに住んでたなんて…送迎大変でしたよね…。いつもありがとうございました。」
束の間、今日あった嫌な事を忘れて少しだけ話が弾む。
「いや、送迎は楽しみだけだったよ。むしろ物足りなくて、もっと遠い方が2人の時間も増えるからいいのにって思ってたぐらいだよ。」
そう言って、背後からぎゅっと抱きしめられる。
急に包まれた温もりにドキドキして目眩までする。だけど、ずっとこうしていたいと思ってしまう。
「あの頃の俺に言ってやりたい。その一方通行の片思いはいつか報われるって。
この指輪、ずっと付けてくれてるのを見るたびに、勝手に優越感に浸ってたんだ。」
そう言って、私の左手の薬指に光る結婚指輪にキスを落とす。
「…紫音さんがせっかく私の為に買ってくれた…ドレスとか…ネックレスとか…盗られてしまって…ご、ごめんなさい…。」
思い出した途端、また涙が溢れ出す。
もう、泣きたく無いのに…。
止めなきゃと思うのに、溢れ出した感情はなかなか抑えられなくて、呼吸まで乱れてしまう。
「…泣くのは決して悪い事では無いんだ。心奈のやるせない気持ちを浄化してくれるだろうから、だけど泣き過ぎて枯れてしまいやしないかと心配になる。」
紫音さんはそう言って、私の前に周り向き合う形で抱き合う。
「嫌だったら、突き飛ばしてくれ。」
そう言ったと思ったら、その綺麗なアーモンド型の瞳が近づいて来て、反射的にぎゅっと目を瞑る。
頰をするっと撫でられて、ビクッと身体が揺れる。顎をクイっと持ち上げられと同時に、唇が軽く触れる。優しい優しいキスが落とされた。
どこまでも優しく、軽く、唇を啄まれると途端にキュンと胸が揺れて、ぎゅっと苦しくなる。
呼吸も乱れて、ちょっと待ってと言おうとするタイミングで、少し開いた唇を容赦なく暴かれ舌が絡め取られる。
煽られて、もう何も考える事が出来なくなる。ただ、深いキスに翻弄されて、目の前の彼の事しか考えられなくなる。
「…心奈、後にも先にも君だけを永遠に愛している。」
これほどの絶対的な告白は2度とないだろうと思うほど、感動で胸が打ちひしがれる。
「…ごめん。さっきは…君の了承も取らず、勝手に事実婚だって言って。」
ううん、と首を横に振りかぶる。
「あの場に紫音さんが居てくれて、私は随分安心出来ました。独りじゃないってこんなにも温かくて、こんなにも心強い事を知りました。」
目の前の広い筋肉質な胸板に吸い込まれるように、自ら身をすり寄せていた。
大きなタワーマンションの地下の駐車場に滑り込んで行く。そこは私のバイト先から本当に直ぐ側だった。
こんなに近くにいたのに、今までなん往復もさせてしまっていたんだと、申し訳なさが心に巣食う。
最上階に向かうエレベーターに乗り込むと、小さくなって行く景色にバイト先のコンビニが小さく見える。
「あっ…。」
と、私が小さく言うと、
「俺の部屋からも心奈の働くコンビニが見えるんだ。いつも、その景色を見て心奈の頑張る姿を思い出してたよ。」
そう言って小さく笑う紫音さんが、とても愛しく思い衝動的に抱きついてしまう。
そんな私を受け止めて優しくそっと抱きしめてくれた。
「いろいろありがとうございます…。ご迷惑をおかけしてすいません。紫音さんが側にいてくれて凄く心強いです。」
そう伝えると、
「俺も、心奈のピンチに側にいられて良かった。もう心配入らないから、好きなだけ甘えてくれればいい。ずっといてくれたって構わないんだからな。」
そう言ってくれて力が抜けるほどホッとした。
タワーマンションの最上階、絨毯張りの廊下を歩く。ここはホテル⁉︎と勘違いしてしまう程の豪華さだ。
「お邪魔します…。」
大きな両開きの玄関ドアが自動に開く。
「凄い…。」
言葉が出ないとは、今、この瞬間の事を指すのだろうと思うほどに…。
口をぽかんと開けて全面ガラス張りの窓から見える景色に唖然とする。
まるでスカイタワーのような観光地に来たみたいだ。
「あそこ、分かるかな?心奈のコンビニだよ。」
紫音さんが隣に来て指差してくれる。
駅の側の噴水のある公園と朝まで働いていたコンビニを見つけた。
「こんなにコンビニの近くに住んでたなんて…送迎大変でしたよね…。いつもありがとうございました。」
束の間、今日あった嫌な事を忘れて少しだけ話が弾む。
「いや、送迎は楽しみだけだったよ。むしろ物足りなくて、もっと遠い方が2人の時間も増えるからいいのにって思ってたぐらいだよ。」
そう言って、背後からぎゅっと抱きしめられる。
急に包まれた温もりにドキドキして目眩までする。だけど、ずっとこうしていたいと思ってしまう。
「あの頃の俺に言ってやりたい。その一方通行の片思いはいつか報われるって。
この指輪、ずっと付けてくれてるのを見るたびに、勝手に優越感に浸ってたんだ。」
そう言って、私の左手の薬指に光る結婚指輪にキスを落とす。
「…紫音さんがせっかく私の為に買ってくれた…ドレスとか…ネックレスとか…盗られてしまって…ご、ごめんなさい…。」
思い出した途端、また涙が溢れ出す。
もう、泣きたく無いのに…。
止めなきゃと思うのに、溢れ出した感情はなかなか抑えられなくて、呼吸まで乱れてしまう。
「…泣くのは決して悪い事では無いんだ。心奈のやるせない気持ちを浄化してくれるだろうから、だけど泣き過ぎて枯れてしまいやしないかと心配になる。」
紫音さんはそう言って、私の前に周り向き合う形で抱き合う。
「嫌だったら、突き飛ばしてくれ。」
そう言ったと思ったら、その綺麗なアーモンド型の瞳が近づいて来て、反射的にぎゅっと目を瞑る。
頰をするっと撫でられて、ビクッと身体が揺れる。顎をクイっと持ち上げられと同時に、唇が軽く触れる。優しい優しいキスが落とされた。
どこまでも優しく、軽く、唇を啄まれると途端にキュンと胸が揺れて、ぎゅっと苦しくなる。
呼吸も乱れて、ちょっと待ってと言おうとするタイミングで、少し開いた唇を容赦なく暴かれ舌が絡め取られる。
煽られて、もう何も考える事が出来なくなる。ただ、深いキスに翻弄されて、目の前の彼の事しか考えられなくなる。
「…心奈、後にも先にも君だけを永遠に愛している。」
これほどの絶対的な告白は2度とないだろうと思うほど、感動で胸が打ちひしがれる。
「…ごめん。さっきは…君の了承も取らず、勝手に事実婚だって言って。」
ううん、と首を横に振りかぶる。
「あの場に紫音さんが居てくれて、私は随分安心出来ました。独りじゃないってこんなにも温かくて、こんなにも心強い事を知りました。」
目の前の広い筋肉質な胸板に吸い込まれるように、自ら身をすり寄せていた。



