いつものように車を降りると、何かおかしいと事に気付く。
「あれ…家の電気が付いてる?」
私が部屋を見つめて呟くと、
「節約家の心奈が電気を消し忘れるか?心配だから一緒に着いて行く。俺の後ろにいて。」
少し警戒を強めた紫音さんが、私を背中に隠しながら、二階への階段を上る。
私が鍵でドアを開けようとすると、それを制した彼がドアノブに手をかけて回すと、ガチャっと音を立てて開く。
えっ…⁉︎鍵かかってない…?
途端に心拍はドキドキと嫌な音を立て始めるから、思わず紫音さんの腕にしがみついてしまう。その手をぎゅっと握りしめてくれた彼が、大丈夫だと強く頷く。
そっとドアを開けて中を覗く…
玄関は…何も変わっていない。靴も私のものが一足置いてあるだけ。廊下の電気を点けると、紫音さんが素早く靴を脱ぎ、ここで待ってろと合図する。
ハラハラする気持ちを抑えて、部屋の中に消えて行く彼の背中を見守る。
数秒で引返して来た彼が、
「部屋が荒らされている。警察に電話するから一旦車に戻ろう。」
そう言って部屋に入ろうとする私を抱きしめ行き場を塞ぐ。
「…えっ!?ど、泥棒ですか…?」
「とりあえず、場を荒らさない方がいい。何が無くなってるかは警察が来た後だ。」
私を落ち着かせるよう片手でトントンと背中を優しく撫ぜながら、片手でスマホをポケットから出し、素早く警察に電話をかけてくれる。
私はただ、彼の腕の中怯えながらその低く良く響く声を聞いていた。
車の中に戻り少し落ち着いた私に、紫音さんはゆっくりとした声で話し出す。
「とりあえず今日からうちに来て。これは悪いけど一歩も譲れない。反論も拒否させてもらう。」
静かに、それでも揺るぎない眼差しは真剣だ。
「はい…。」
私も素直に頷く。一人暮らしをしてから初めて恐怖を感じていた。
どうしよう…。震える手を自分の手で無理矢理抑えて、意味もなく泣きそうになる気持ちをなんとか堪える。
「心奈、気持ちを抑えなくていいよ。怖い思いをしたのだから、泣いたって構わないんだ。手を…そんなに強く握りしめないで。」
手にそっと触れられた途端、堪えていたものが一気に流れ出す。
…紫音さんの前だといつだって、涙を止める事が出来ない。
「あれ…家の電気が付いてる?」
私が部屋を見つめて呟くと、
「節約家の心奈が電気を消し忘れるか?心配だから一緒に着いて行く。俺の後ろにいて。」
少し警戒を強めた紫音さんが、私を背中に隠しながら、二階への階段を上る。
私が鍵でドアを開けようとすると、それを制した彼がドアノブに手をかけて回すと、ガチャっと音を立てて開く。
えっ…⁉︎鍵かかってない…?
途端に心拍はドキドキと嫌な音を立て始めるから、思わず紫音さんの腕にしがみついてしまう。その手をぎゅっと握りしめてくれた彼が、大丈夫だと強く頷く。
そっとドアを開けて中を覗く…
玄関は…何も変わっていない。靴も私のものが一足置いてあるだけ。廊下の電気を点けると、紫音さんが素早く靴を脱ぎ、ここで待ってろと合図する。
ハラハラする気持ちを抑えて、部屋の中に消えて行く彼の背中を見守る。
数秒で引返して来た彼が、
「部屋が荒らされている。警察に電話するから一旦車に戻ろう。」
そう言って部屋に入ろうとする私を抱きしめ行き場を塞ぐ。
「…えっ!?ど、泥棒ですか…?」
「とりあえず、場を荒らさない方がいい。何が無くなってるかは警察が来た後だ。」
私を落ち着かせるよう片手でトントンと背中を優しく撫ぜながら、片手でスマホをポケットから出し、素早く警察に電話をかけてくれる。
私はただ、彼の腕の中怯えながらその低く良く響く声を聞いていた。
車の中に戻り少し落ち着いた私に、紫音さんはゆっくりとした声で話し出す。
「とりあえず今日からうちに来て。これは悪いけど一歩も譲れない。反論も拒否させてもらう。」
静かに、それでも揺るぎない眼差しは真剣だ。
「はい…。」
私も素直に頷く。一人暮らしをしてから初めて恐怖を感じていた。
どうしよう…。震える手を自分の手で無理矢理抑えて、意味もなく泣きそうになる気持ちをなんとか堪える。
「心奈、気持ちを抑えなくていいよ。怖い思いをしたのだから、泣いたって構わないんだ。手を…そんなに強く握りしめないで。」
手にそっと触れられた途端、堪えていたものが一気に流れ出す。
…紫音さんの前だといつだって、涙を止める事が出来ない。



