当事者ではなくて良かったが、その商社は日本の古くさい、男尊女卑の考えが根深く残っている。
時代錯誤も甚だしいな。経営陣から考えを変えないと今後の社会に残っていけないだろう。
海外ではレディファーストで女性を敬い守る事が当たり前だから、日本に戻って社会に入れば、未だに目に着く古き悪き考えに幻滅させられる。
心奈にこれ以上害がないよう、上手く守らなければと決意を新たにしていると、
「紫音さん、そろそろシンデレラの魔法も切れる頃です。私も着替えて帰らないと…。」
シチューを食べ終えた心奈が言う。
急に現実に引き戻されて言葉を失う。
「少し話をさせて欲しい。」
俺は別れを告げられる前に話しを切り出す。
「出来ればこれから先の未来も君とずっと一緒に居たい。心奈に再会した時からそれだけが俺の真実なんだ。
心奈が好きだ。」
真剣な目で訴える。
回りくどい事をしたが、最初から一貫して心の奥にあった答えをやっと口にする事が出来た。彼女はどう思っただろうか…。
「私では…紫音さんと釣り合う事が出来ません…。」
否定的な言葉が聞こえ、心がぎゅっと締め付けられるが、
「それは誰からの目線?
大事なのは心奈が俺をどう思うかで、これからどうしたいかだ。少し考えてみて欲しい。そうだな…1週間、それとも1か月?
心奈の答えが見つかるまで俺はいつまでも待つ覚悟だ。」
もはや彼女以外は要らないと、意思表示のように問いかける。
しばしの沈黙が続く。
このまま終わってしまうのかと、俺の心が闇堕ちしそうになった頃、決心したかの様に彼女が顔を上げて言う。
「私…紫音さんが、好きです。」
突然の告白に時が止まる。
「えっ…ちょっと待って…。
ちゃんと考えて?俺に同情してるのか?それとも…新手のイタズラか?」
信じられない言葉を聞いて、いろいろと勘ぐってしまう。
「違います。
私…高校生の時から、紫音さんのピアノの音に恋してました。放課後の部活であなたのピアノの音色を聴くのが好きでした。
一度…忘れ物を取りに行ったのを…覚えてますか?」
「ピンクの筆箱?」
「はい。…あれはワザと忘れたんです。放課後の音楽室で誰がピアノを弾いているのか知りたくて。」
「えっ…心奈が?」
「はい…その時は正直好奇心だけでした。だけど、その後、ピアノの曲がポップなものに変わったり、応援歌だったり…まるで見守られているみたいで心が温かくなりました。その先輩の名を知らないままでいたのは、その人がヨーロッパに長期留学すると聞いたから…。私が近付く事は許されないと、雲の上の人なんだと思って…。」
「もしかして…俺達、両思いだったのか…?」
片手を口に置きその真実に唖然とする。
「そう…みたいですね…。」
照れ笑いする彼女に手を差し出すと、両手でぎゅっと握りかえしてくれた。嘘偽りない真実だと実感して嬉しくなる。
「俺と付き合ってくれるのか?」
「…はい。こんな私で良ければ…ですけど…。」
「いいに決まってる。この指輪が真実になるまでかも知れないよ?」
嬉しくてつい、この期に及んで遠回しに、結婚を前提に考えている事まで匂わせてしまう。
「…はい。」
何だ、これは!?
真実を伝えたら、絶対長期戦になる構えだったから、勝手に怯えていた昨日までの自分を呪いたい。
彼女はちゃんと、既に俺と向き合ってくれていたんだ。
「ありがとう…抱きしめても?」
時代錯誤も甚だしいな。経営陣から考えを変えないと今後の社会に残っていけないだろう。
海外ではレディファーストで女性を敬い守る事が当たり前だから、日本に戻って社会に入れば、未だに目に着く古き悪き考えに幻滅させられる。
心奈にこれ以上害がないよう、上手く守らなければと決意を新たにしていると、
「紫音さん、そろそろシンデレラの魔法も切れる頃です。私も着替えて帰らないと…。」
シチューを食べ終えた心奈が言う。
急に現実に引き戻されて言葉を失う。
「少し話をさせて欲しい。」
俺は別れを告げられる前に話しを切り出す。
「出来ればこれから先の未来も君とずっと一緒に居たい。心奈に再会した時からそれだけが俺の真実なんだ。
心奈が好きだ。」
真剣な目で訴える。
回りくどい事をしたが、最初から一貫して心の奥にあった答えをやっと口にする事が出来た。彼女はどう思っただろうか…。
「私では…紫音さんと釣り合う事が出来ません…。」
否定的な言葉が聞こえ、心がぎゅっと締め付けられるが、
「それは誰からの目線?
大事なのは心奈が俺をどう思うかで、これからどうしたいかだ。少し考えてみて欲しい。そうだな…1週間、それとも1か月?
心奈の答えが見つかるまで俺はいつまでも待つ覚悟だ。」
もはや彼女以外は要らないと、意思表示のように問いかける。
しばしの沈黙が続く。
このまま終わってしまうのかと、俺の心が闇堕ちしそうになった頃、決心したかの様に彼女が顔を上げて言う。
「私…紫音さんが、好きです。」
突然の告白に時が止まる。
「えっ…ちょっと待って…。
ちゃんと考えて?俺に同情してるのか?それとも…新手のイタズラか?」
信じられない言葉を聞いて、いろいろと勘ぐってしまう。
「違います。
私…高校生の時から、紫音さんのピアノの音に恋してました。放課後の部活であなたのピアノの音色を聴くのが好きでした。
一度…忘れ物を取りに行ったのを…覚えてますか?」
「ピンクの筆箱?」
「はい。…あれはワザと忘れたんです。放課後の音楽室で誰がピアノを弾いているのか知りたくて。」
「えっ…心奈が?」
「はい…その時は正直好奇心だけでした。だけど、その後、ピアノの曲がポップなものに変わったり、応援歌だったり…まるで見守られているみたいで心が温かくなりました。その先輩の名を知らないままでいたのは、その人がヨーロッパに長期留学すると聞いたから…。私が近付く事は許されないと、雲の上の人なんだと思って…。」
「もしかして…俺達、両思いだったのか…?」
片手を口に置きその真実に唖然とする。
「そう…みたいですね…。」
照れ笑いする彼女に手を差し出すと、両手でぎゅっと握りかえしてくれた。嘘偽りない真実だと実感して嬉しくなる。
「俺と付き合ってくれるのか?」
「…はい。こんな私で良ければ…ですけど…。」
「いいに決まってる。この指輪が真実になるまでかも知れないよ?」
嬉しくてつい、この期に及んで遠回しに、結婚を前提に考えている事まで匂わせてしまう。
「…はい。」
何だ、これは!?
真実を伝えたら、絶対長期戦になる構えだったから、勝手に怯えていた昨日までの自分を呪いたい。
彼女はちゃんと、既に俺と向き合ってくれていたんだ。
「ありがとう…抱きしめても?」



