何とか舞台から降りて彼女の姿を探す。
会場内をくまなく探すが、式が終わるまでは暗がりのままでよく見えない。
もしかしてトイレにでも行ったのかと、会場を出てロビーで彼女の姿を探す。まるで置いて行かれた子供のようだ…。
トイレに向かう廊下で、やっと彼女の姿を見つけた時はどれほど安堵した事だろうか…。
「心奈!」
つい彼女の名を呼び駆け寄ると、見かけ無い男が強引に彼女の腕を掴んでいるのが見える。
一気に怒りが沸点に達し、彼女を掴んでいる手を叩き落とし彼女を引き寄せる。
「何なんですか?妻を勝手に連れ出さないで頂きたい。」
非難の目を向け、男の視線から彼女を隠す。
「いえ…私は、彼女とは知り合いで…。」
男は突然現れてた俺に怯み、しどろもどろになり目線が揺れる。
「どのような関係で?」
食ってかかりたい衝動を抑え声を殺す。
「以前彼女が働いていた会社の者です。急に辞められたのでどうしたのかと…まさか、貴方と結婚していたとは思いもせず。」
以前の会社の知り合い…?
まさかこんなところで会うなんて…二度と接点は無いと思っていた。
心奈を苦しめた男か…⁉︎と視線は鋭さを増す。
「彼女は既に貴方とは無関係だ。怯える彼女を強引に連れ出すのは間違っている。貴方の会社に後ほど厳重抗議させて頂く。」
非難の目を向けると、
式が終わったらしく会場の扉が開いて、わらわらと人波がロビーへと押し流されて来る。
それを味方にしたのか相手の男はニヤリと笑い、
「失礼ですが、彼女とはどのようにお知り合いに?思わせぶりな態度を取って男を手玉に取るような女です。SIONさんとはとても釣り合う様な女では…。」
ブチッと堪忍袋の尾が切れる音が聞こえ、俺は男の胸ぐらを掴む。
なんなんだこいつ!!
自分のした事の反省も無く尚も心奈を苦しめるのか?一発殴ってやりたいという衝動に駆られる。
「紫音さん!駄目です。私は大丈夫ですから…。」
俺の腕に抱き付き必死になって止める心奈に、ハッと我に帰る。
…身体は震えて瞳は今にも泣き出しそうだ。
「怖い思いをさせて悪かった…。」
彼女にそう伝え、男を一瞥してその場を離れる。
彼女の手を取り出入り口へと進む。ロビーに出れば帰り支度の人々の群れで溢れかえっていた。
「ありがとう…俺を止めてくれて。心奈が止めなかったら大変な事になっていた。」
そう伝えると彼女は首を横に振る。
「私の方こそごめんなさい。」
自分のせいだと責め立てそうになる彼女を、サッと横向きに抱き上げ歩き出す。
「悪いが出来るだけ早くここから去りたい。怖がらせている自覚はあるから、後で気の済むまで殴ってくれて構わない。」
それだけを言って、足速に会場の外へと足を運ぶ。
彼女の小さな手がぎゅっと俺の首元に抱きついて来てくれる。強引な事をしてしまった手前、一歩も二歩も後退してしまっただろう彼女の心が、まだ俺に留まってくれていると少し安堵した。
「紫音さん!突然いなくなったのでどうされましたか?」
知り合いのレーベルのスタッフが俺に駆け寄って来るから、仕方なしに足を止める。
「悪いが妻が怪我をしたので、今夜はこのまま帰ります。社長にはそうお伝え下さい。」
彼女を抱えたままそう言って、また足速に歩き出そうとすると、
「医務室に行かれますか?」
「いや、大丈夫です。ホテルの部屋まで救急箱をお願い出来ますか?」
「分かりました。至急手配してお届けします。」
スタッフはそう言って送り出してくれた。
会場内をくまなく探すが、式が終わるまでは暗がりのままでよく見えない。
もしかしてトイレにでも行ったのかと、会場を出てロビーで彼女の姿を探す。まるで置いて行かれた子供のようだ…。
トイレに向かう廊下で、やっと彼女の姿を見つけた時はどれほど安堵した事だろうか…。
「心奈!」
つい彼女の名を呼び駆け寄ると、見かけ無い男が強引に彼女の腕を掴んでいるのが見える。
一気に怒りが沸点に達し、彼女を掴んでいる手を叩き落とし彼女を引き寄せる。
「何なんですか?妻を勝手に連れ出さないで頂きたい。」
非難の目を向け、男の視線から彼女を隠す。
「いえ…私は、彼女とは知り合いで…。」
男は突然現れてた俺に怯み、しどろもどろになり目線が揺れる。
「どのような関係で?」
食ってかかりたい衝動を抑え声を殺す。
「以前彼女が働いていた会社の者です。急に辞められたのでどうしたのかと…まさか、貴方と結婚していたとは思いもせず。」
以前の会社の知り合い…?
まさかこんなところで会うなんて…二度と接点は無いと思っていた。
心奈を苦しめた男か…⁉︎と視線は鋭さを増す。
「彼女は既に貴方とは無関係だ。怯える彼女を強引に連れ出すのは間違っている。貴方の会社に後ほど厳重抗議させて頂く。」
非難の目を向けると、
式が終わったらしく会場の扉が開いて、わらわらと人波がロビーへと押し流されて来る。
それを味方にしたのか相手の男はニヤリと笑い、
「失礼ですが、彼女とはどのようにお知り合いに?思わせぶりな態度を取って男を手玉に取るような女です。SIONさんとはとても釣り合う様な女では…。」
ブチッと堪忍袋の尾が切れる音が聞こえ、俺は男の胸ぐらを掴む。
なんなんだこいつ!!
自分のした事の反省も無く尚も心奈を苦しめるのか?一発殴ってやりたいという衝動に駆られる。
「紫音さん!駄目です。私は大丈夫ですから…。」
俺の腕に抱き付き必死になって止める心奈に、ハッと我に帰る。
…身体は震えて瞳は今にも泣き出しそうだ。
「怖い思いをさせて悪かった…。」
彼女にそう伝え、男を一瞥してその場を離れる。
彼女の手を取り出入り口へと進む。ロビーに出れば帰り支度の人々の群れで溢れかえっていた。
「ありがとう…俺を止めてくれて。心奈が止めなかったら大変な事になっていた。」
そう伝えると彼女は首を横に振る。
「私の方こそごめんなさい。」
自分のせいだと責め立てそうになる彼女を、サッと横向きに抱き上げ歩き出す。
「悪いが出来るだけ早くここから去りたい。怖がらせている自覚はあるから、後で気の済むまで殴ってくれて構わない。」
それだけを言って、足速に会場の外へと足を運ぶ。
彼女の小さな手がぎゅっと俺の首元に抱きついて来てくれる。強引な事をしてしまった手前、一歩も二歩も後退してしまっただろう彼女の心が、まだ俺に留まってくれていると少し安堵した。
「紫音さん!突然いなくなったのでどうされましたか?」
知り合いのレーベルのスタッフが俺に駆け寄って来るから、仕方なしに足を止める。
「悪いが妻が怪我をしたので、今夜はこのまま帰ります。社長にはそうお伝え下さい。」
彼女を抱えたままそう言って、また足速に歩き出そうとすると、
「医務室に行かれますか?」
「いや、大丈夫です。ホテルの部屋まで救急箱をお願い出来ますか?」
「分かりました。至急手配してお届けします。」
スタッフはそう言って送り出してくれた。



