この後は、何人、何十人と挨拶を交わし、行くところ行くところで声をかけられた。
バンド系のメンバーにサインや写真を求められたり、ガールズグループに取り囲まれたり…紫音さんは気さくな感じで、有名人だろう彼らと対等に話しを交わしていた。
そんな人気者の紫音さんは、それでも私からいつも目を離さず『ここに居て。』と、決して私が1人にならないようにと配慮してくれた。
誰に対しても『僕の妻です。』と、堂々と紹介してくれた。その度に本当は偽物なのにと私の心がチクチクと痛む。
「心奈、疲れたか?何か飲み物をお願いしよう。」
1時間以上経った頃、さすがに慣れないヒールのせいか踵が擦れて痛みが走る。平気な顔をして過ごしていたけれど、彼には見破られてしまったのだろうか…。
壁際に置かれている椅子に座るように促されて、紫音さんが飲み物をスタッフに注文してくれる。
「何か軽く食べるか?」
立食形式になっている為、ところどころに美味しそうな食べ物が並べられいる。
「ちょっと休めば大丈夫です。流石に緊張しちゃいました。」
私としては怒涛の1時間だったから、座る事が出来て少しホッとした。
注文したオレンジジュースが手渡され、一口口にすると生き返った気分になる。
「美味しい。」
紫音さんも壁にもたれかかり、一緒に注文したウーロン茶を飲んでいる。
「紫音さん、私ここで待ってますからお知り合いの方とお話しして来て下さい。」
私になんて付き合っている時間が勿体無いと、そう言い聞かすのに、一向に離れて行こうとしない。
「紫音さん…?」
「心奈の側を離れたら連れ去られるかもしれないだろ?」
「そんな事あり得ませんよ。」
私がふふっと笑うと、
「駄目だよ。そんな可愛い笑顔、知らない人には向けないで。」
と、よく分からない嫉妬をする。
まるで、本当に彼の妻になったかのように錯覚してしまう。
バンド系のメンバーにサインや写真を求められたり、ガールズグループに取り囲まれたり…紫音さんは気さくな感じで、有名人だろう彼らと対等に話しを交わしていた。
そんな人気者の紫音さんは、それでも私からいつも目を離さず『ここに居て。』と、決して私が1人にならないようにと配慮してくれた。
誰に対しても『僕の妻です。』と、堂々と紹介してくれた。その度に本当は偽物なのにと私の心がチクチクと痛む。
「心奈、疲れたか?何か飲み物をお願いしよう。」
1時間以上経った頃、さすがに慣れないヒールのせいか踵が擦れて痛みが走る。平気な顔をして過ごしていたけれど、彼には見破られてしまったのだろうか…。
壁際に置かれている椅子に座るように促されて、紫音さんが飲み物をスタッフに注文してくれる。
「何か軽く食べるか?」
立食形式になっている為、ところどころに美味しそうな食べ物が並べられいる。
「ちょっと休めば大丈夫です。流石に緊張しちゃいました。」
私としては怒涛の1時間だったから、座る事が出来て少しホッとした。
注文したオレンジジュースが手渡され、一口口にすると生き返った気分になる。
「美味しい。」
紫音さんも壁にもたれかかり、一緒に注文したウーロン茶を飲んでいる。
「紫音さん、私ここで待ってますからお知り合いの方とお話しして来て下さい。」
私になんて付き合っている時間が勿体無いと、そう言い聞かすのに、一向に離れて行こうとしない。
「紫音さん…?」
「心奈の側を離れたら連れ去られるかもしれないだろ?」
「そんな事あり得ませんよ。」
私がふふっと笑うと、
「駄目だよ。そんな可愛い笑顔、知らない人には向けないで。」
と、よく分からない嫉妬をする。
まるで、本当に彼の妻になったかのように錯覚してしまう。



