そして、バックヤードで会話を交わした時、その声に…仕草に…どうしようもなく心が乱れた。
決定的だったのは書類の判子が葉月だった事。
彼女本人だと認識してからは、正直、頭の中がパニック状態だった。
だけど…見る見る青ざめて行く彼女の顔色に、震える声に体調の悪さを察知して、後ろ髪引かれる思いで、ひとまず立ち去ろうと席を立った。
去り際に、店長らしき男に声をかけると、
『ここちゃんが!?』
と、親しげに名前を呼びバックヤードに慌てて戻って行く男の姿に、俺の心はどうしようもなく騒めいた。
名前呼びする男の存在に、もしかしたら既に誰かのものなのかと、勝手に気持ちが焦りだす。
どうにかして彼女と繋がりたいと思ってしまう。
まずは知り合いにならなければ始まらないと、そこからはいろいろな口実を考えた。
結局、一日中考えても良いアイデアは見つからず、とりあえずコンビニに通って、客という立場以上にならなければ始まらないと結論づけた。それなのに…
彼女の体調が心配で、次の日の早朝にコンビニへ行けば、彼女に見合い話しを持ちかけている光景を目にしてしまい、また気持ちが乱れた。
今フリーだと言う事は分かったのは良かったが…誰かに取られてしまうという恐怖に焦り、せっかく話しが出来る機会を作り出せたにも関わらず、自爆する…。
日頃から人と深く関わって来なかった自分の乏しいコミ力を恨み、なぜ突然求婚してしまったのかと頭を抱えた。
彼女の優しさに救われて何とか繋ぎ止め、知り合いにはなれたが、とても不自然な契約的な関係にしかなれず…夫婦の真似事までさせてしまう羽目になった。
これが本当になればどんなに嬉しいか…。
話せば話す程、一緒にいればいる程惹かれ、もはや離れたくないと、手離す事なんて出来やしないと心は叫ぶ。
だけど男性恐怖症の彼女を思い、下手に近付く訳にもいかず…もどかしくて歯痒い日々を送り今に至る。
カモフラージュの為に買ったお揃いのペアリングを見つめ、俺は物思いに耽っていた。
決定的だったのは書類の判子が葉月だった事。
彼女本人だと認識してからは、正直、頭の中がパニック状態だった。
だけど…見る見る青ざめて行く彼女の顔色に、震える声に体調の悪さを察知して、後ろ髪引かれる思いで、ひとまず立ち去ろうと席を立った。
去り際に、店長らしき男に声をかけると、
『ここちゃんが!?』
と、親しげに名前を呼びバックヤードに慌てて戻って行く男の姿に、俺の心はどうしようもなく騒めいた。
名前呼びする男の存在に、もしかしたら既に誰かのものなのかと、勝手に気持ちが焦りだす。
どうにかして彼女と繋がりたいと思ってしまう。
まずは知り合いにならなければ始まらないと、そこからはいろいろな口実を考えた。
結局、一日中考えても良いアイデアは見つからず、とりあえずコンビニに通って、客という立場以上にならなければ始まらないと結論づけた。それなのに…
彼女の体調が心配で、次の日の早朝にコンビニへ行けば、彼女に見合い話しを持ちかけている光景を目にしてしまい、また気持ちが乱れた。
今フリーだと言う事は分かったのは良かったが…誰かに取られてしまうという恐怖に焦り、せっかく話しが出来る機会を作り出せたにも関わらず、自爆する…。
日頃から人と深く関わって来なかった自分の乏しいコミ力を恨み、なぜ突然求婚してしまったのかと頭を抱えた。
彼女の優しさに救われて何とか繋ぎ止め、知り合いにはなれたが、とても不自然な契約的な関係にしかなれず…夫婦の真似事までさせてしまう羽目になった。
これが本当になればどんなに嬉しいか…。
話せば話す程、一緒にいればいる程惹かれ、もはや離れたくないと、手離す事なんて出来やしないと心は叫ぶ。
だけど男性恐怖症の彼女を思い、下手に近付く訳にもいかず…もどかしくて歯痒い日々を送り今に至る。
カモフラージュの為に買ったお揃いのペアリングを見つめ、俺は物思いに耽っていた。



