そのタイミングで、車を停めて来た紫音さんが現れて…。
「うちの妻は恥ずかしがり屋なので、そんなに目立つのは好まないんです。それに、あまり綺麗になり過ぎると、俺も心配になるので控えめにお願いします。」
と、私の気持ちを代弁して上手にオーダーしてくれる。
「前髪はどうしたい?」
私の横に来て覗き込むように聞いてくる彼に、ドキンとしながら、この人の横に並んでも恥ずかしくないように、出来る限り釣り合う人間にならなくてはと、変な焦りが生まれる。
「軽くしてもらえれば…おしゃれな感じに…こんな私でも垢抜けられるんでしょうか?」
と、小声で彼に心配事を伝える。
今日もカッコ良い紫音さんは、紺のジーンズと白のパーカーというラフな出立にも関わらず、セレブなオーラを醸し出している。
こんな人に釣り合う事なんて出来るんだろうか…
「心奈は今のままでも充分だけど、俺としてはせっかくの機会だから、より自信を持って欲しいだけなんだ。」
そう言って、自分を卑下する私の気持ちを上げてくれる。
「俺もちょっと切ってもらおうかな。全体的にサッパリしたいんだけど出来る?」
全部屋個室の高級ヘアサロンは、どんな要望にも直ちに叶えてくれるらしい。
「かしこまりました。では、ご用意致しますので少々お待ちください。」
と、スタイリストとアシスタントが無茶な要望に応えようと、部屋を出て行ってしまう。
急に明るい部屋で2人っきりになり、少し戸惑い恥ずかしくなる。
「大丈夫だった?俺のいない間、嫌な思いしなかったか?」
私が顔を強張らせていたのに気付いたのだろうか…。心配そうに見て来る彼はいつだって、私の気持ちに寄り添ってくれる。
「いえ、大丈夫です。奥様って呼ばれて…ちょっと緊張しただけで…。」
「良いね、その響き。予約する時に俺の妻がって話したからかな…。予行練習だと思って楽しめば良いんだ。」
嬉しそうに微笑んで、不意に目の前に両手を差し出して来る。
だから、反射的に手に手を重ねてしまうけど…
「髪を切るのに抵抗があるんだったら、今すぐ帰ってもいいんだ。無理強いはしたくない。どうしたい?」
ぎゅっと両手を握られて、私の心を読み取るかのように目線をじっと合わされる。
お互い今日はメガネをかけている。紫音さんのはどうやら伊達メガネらしいけど…。メガネ越しでもその熱い眼差しに、やられてしまいそうだ。
「大丈夫です。髪は切りたいなって思ってましたから、良い機会なので、サッパリしたいです。」
そう伝えると、いくらか紫音さんもにこりと笑ってホッとしたような顔をする。
「うちの妻は恥ずかしがり屋なので、そんなに目立つのは好まないんです。それに、あまり綺麗になり過ぎると、俺も心配になるので控えめにお願いします。」
と、私の気持ちを代弁して上手にオーダーしてくれる。
「前髪はどうしたい?」
私の横に来て覗き込むように聞いてくる彼に、ドキンとしながら、この人の横に並んでも恥ずかしくないように、出来る限り釣り合う人間にならなくてはと、変な焦りが生まれる。
「軽くしてもらえれば…おしゃれな感じに…こんな私でも垢抜けられるんでしょうか?」
と、小声で彼に心配事を伝える。
今日もカッコ良い紫音さんは、紺のジーンズと白のパーカーというラフな出立にも関わらず、セレブなオーラを醸し出している。
こんな人に釣り合う事なんて出来るんだろうか…
「心奈は今のままでも充分だけど、俺としてはせっかくの機会だから、より自信を持って欲しいだけなんだ。」
そう言って、自分を卑下する私の気持ちを上げてくれる。
「俺もちょっと切ってもらおうかな。全体的にサッパリしたいんだけど出来る?」
全部屋個室の高級ヘアサロンは、どんな要望にも直ちに叶えてくれるらしい。
「かしこまりました。では、ご用意致しますので少々お待ちください。」
と、スタイリストとアシスタントが無茶な要望に応えようと、部屋を出て行ってしまう。
急に明るい部屋で2人っきりになり、少し戸惑い恥ずかしくなる。
「大丈夫だった?俺のいない間、嫌な思いしなかったか?」
私が顔を強張らせていたのに気付いたのだろうか…。心配そうに見て来る彼はいつだって、私の気持ちに寄り添ってくれる。
「いえ、大丈夫です。奥様って呼ばれて…ちょっと緊張しただけで…。」
「良いね、その響き。予約する時に俺の妻がって話したからかな…。予行練習だと思って楽しめば良いんだ。」
嬉しそうに微笑んで、不意に目の前に両手を差し出して来る。
だから、反射的に手に手を重ねてしまうけど…
「髪を切るのに抵抗があるんだったら、今すぐ帰ってもいいんだ。無理強いはしたくない。どうしたい?」
ぎゅっと両手を握られて、私の心を読み取るかのように目線をじっと合わされる。
お互い今日はメガネをかけている。紫音さんのはどうやら伊達メガネらしいけど…。メガネ越しでもその熱い眼差しに、やられてしまいそうだ。
「大丈夫です。髪は切りたいなって思ってましたから、良い機会なので、サッパリしたいです。」
そう伝えると、いくらか紫音さんもにこりと笑ってホッとしたような顔をする。



