求婚は突然に…       孤独なピアニストの執着愛

朝、視界が明るくなったのを感じて目を薄っすら開く。

「おはよう…。良かった、このまま目を開けないんじゃ無いかって心配だった。」
はぁーと深い息を吐いて紫音さんが安堵する声を聞く。

「…おはよう…ございます。」
思ったよりも掠れた声に自分自身もびっくりするが、すかさず彼は枕元のペットボトルを開けて、口移しで飲ませてくれる。

「昨日はごめん。歯止めが効かなくて…鳴かせ過ぎたね。」
ごめんと謝りながら、なぜか嬉しそうだけど…

ボーっとする頭で我が身を見れば、彼のパジャマを身に付けていて、下着は着けていない状態だった。

「一応、不快だろうから軽く拭いたけど、風呂でも入るか?洗ってあげるよ。」
当たり前のようにそう言われて、ぼっと顔から火が出そうなくらい赤くなる。

「ダ、ダ、ダイジョウブです。自分で入れます。」
恥ずかし過ぎてこの場から立ち去りたいと、ベッドから這い出したのに、上手く足に力が入らず、ペタンと床に座ってしまう。

「大丈夫か?無理はするな。俺のせいだから、ちゃんと責任とって世話させてくれないか。」
笑いながら抱き上げられて、有無を言わさずバスルームに連れて行かれる。

裸にされてバスタブに入れられたと思ったら、当たり前のように彼も入って来て、身体の隅々まで、当たり前のように洗われてしまう。

その綺麗な指に触られたら、敏感になった私の身体は意図も簡単に征服されて、洗われてるのか抱かれているのか分からないくらいぐずぐずにされてしまう。

「可愛いな。心奈は心だけじゃなくて身体も素直だ。知ってしまったからには、これから自分を制御するのが大変だ。」
一緒にバスタブに浸かりながら楽しそうに彼が言う。

その手がまた私の身体に触れようとするから、
「もう…触らないで。」
と、両腕をバツにして身体を隠す。彼に対しては小さな抵抗だろうけど…。

「ごめん、怒った?
許して。もう、しないから…。」

思っていた以上の反応をした彼は、両手を頭の上にあげて降参の態度を示すから、可笑しくなってつい笑ってしまう。

そこからの主導権は私に握らせてくれて、彼は従順な大型犬のように言う事を聞いてくれた。