求婚は突然に…       孤独なピアニストの執着愛

「彼女がした事が明るみに出れば、さすがに社長も娘を手元には置いておけないだろう。」
と、紫音さんがほくそ笑む。

電話を終えて、私に改めて向き合った彼は、
「心奈を巻き込みで申し訳無かった。だけど覚えておいて、俺が愛しているのは心奈だけだし、抱きたいと思うのは君だけだから。」
そう言われチュッ軽くキスをされる。

久しぶりのキスは突然過ぎて、心拍は急上昇…それでも容赦なく降り注ぐキスの嵐に目眩いがする。

「ちょ、ちょっと…待っ…」
一度一呼吸したくて、彼の口元に手を置いて拒むと、ペロッと手のひらを舐められて
「ひゃっ!?」
と驚き赤面して目が泳ぐ…。

そのままベッドにコロンと転がされて組み敷かれれば、
「これは罰だよ。心奈が俺の事を少しでも疑った。」
大体、あんな女こっちからごめんだ。と捨てゼリフまで吐く。

急速に繋がれた唇は貪るように口内まで駆け巡る。両手は彼が片手で頭の上で拘束されて、もはや拒む事も難しくて…
甘い甘いお仕置きにただただ溺れてしまう。

「ここら辺で止めておかないと、本当に襲ってしまいそうだ…。」
呟きにも似た声でそう言われ、そっと元のベッド脇に座らせてくれる。ベッドに散って乱れた私の髪まで手櫛で整えてくれるから、
「大丈夫です…。」
と、慌てて自分で直す。

ふぅーと一呼吸置いて冷静さを取り戻した彼は、
「お義母さんが心配してる。今夜は心奈が好きなグラタンだって一緒に食べよう。」

いつの間に母と仲良くなったのか…。
当たり前の如くそう言って。私をダイニングへと誘う。