ちょっ、彗くん近いって!
整いすぎた顔が目の前に迫って、心臓が大きく跳ねる。
「な、何を言ってるの? 気が気でないとか、そんなわけないでしょ!?」
本当は告白される彗くんを陰で見守りながら、内心ソワソワしてたけど……そんなこと、本人に言えるわけがない。
「ふーん。そっか」
彗くんがつまらなさそうに、私から顔を離す。
「まぁ、俺には菜乃花がいるから。たとえ何人の女子に告白されようと、これからもなびくことはないけどね」
彗くんの言葉に、またもや心臓がドクンと音を立てる。
彗くんにそんなことを言われたら、期待しちゃうよ。
だけど、彗くんがそう言ってくれるのは……
体育祭の借り物競争のときのお題と同様、私が彗くんのボディーガードで、彼女役をしているからだよね?



