彗くんが教室で、自分の正体を明かして数日。
彼が三池財閥の御曹司だということは、学園中に知れ渡った。
そして……。
「好きです! 付き合ってください」
あの日以来、彗くんは女の子にモテるようになった。
今日も休み時間に女の子から中庭に呼び出され、告白されている。
あんなにもイケメンで、日本有数の大財閥の御曹司なんだもん。モテて当然だよね。
私は彗くんのボディーガードとして、彼から数メートル離れたところから様子をこっそりと見守っている。
「ごめん。俺、彼女いるから」
「そ、そうですよね。告白してすいませんでした」
彗くんに振られた女の子が、逃げるように去っていく。
「菜乃花、ごめん!」
女の子が立ち去ると、彗くんが申し訳なさそうな顔で私の元に駆けてきた。
「ううん、大丈夫だよ。ていうか彗くん、毎日のように女の子から告白されて。ほんと大人気だね?」
「何だ? 菜乃花が俺にそんなことを言ってくるってことは、俺が女子から告白されて気が気でないとか?」
私に顔を近づけて、ニヤニヤしながら尋ねる彗くん。