隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



* *


昼休み。


「ごめんね、彗くん。私のせいで……」


私は今、彗くんとふたりで空き教室に来てお昼ご飯を食べている。


あのあと彗くんは、クラスメイト……特に女の子たちに取り囲まれちゃって大変だった。


「なんで菜乃花が謝るんだよ」

「だって……」


あのとき、私が伊集院さんに何とかして上手く説明できていれば、彗くんは自分が財閥の御曹司だって明かさずに済んだかもしれないのに。


「そもそも昨日のお茶会は、財閥関係者の集まりでもあったのに俺も迂闊だった。それに……正体を明かしたこと、俺は後悔してないよ」

「え?」

「自分を偽りながら学校生活を送ることに、最近は少し罪悪感を覚えていたし。何より、俺のせいで菜乃花が責められるのを、黙って見ていられなかったから」


彗くん……。